塔について III

レス数:450 サイズ:1183.21 KiB 最終更新日:2021-03-27 09:45:10

401  名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2021/02/27(Sat) 13:29:39 ID:c8326cf7



  夢の中で男は息を呑んで岩の後ろに隠れ、竜が眠りにつくのを待った。
  
  それから竜が寝息を立てるのを確認すると、彼は竜を倒すべくその口の中に潜り込んだ。
  
  竜の体内は深い洞穴のように入り組んでいたが、彼はさ迷いながらも奥へと進んでいき、ついに竜の心臓を探り当てた。
  
  驚くべきことに竜の心臓は透き通ったガラスの容器だった。 そこに太い血管が繋がって体の各部位に血を送り込んでいる。
  
  彼はしばらくその場に立ち尽くしてガラスと血の流れの美しさに見とれていた。
  
  それはずっと見ていても見飽きることのない不思議な魅力を持っていた。
  
  それから足元にいるネズミの存在に気が付いた。 ネズミは全部で三匹いた。



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                     ヽ  ゝ_ノ  i /
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                       r-‐‐f/         ヽ
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                    il   ヽ      /      il   ,./ヽ
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                    il       ノノ  〉    ヽヽil  <   `ヽ
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                    il  V  //  ヽ、      〃ヽヽ  ヽ
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                il    〉Λヽ    Λ `   〃    i i   li
                il    //  ヽヽ           ii     ii    li
                  il  i i    \\     Λ     iミヽ、 li
                     il  i i     /ハヽ  '"´i ヽ     ii ヽヾ li
                 V i i     イ  ヾ、     ハ  '"´ii   ヽli
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                      iミ              i i      li
                    ヽ             ヾ       li
                      弋          / ヾ    li
                         ` ` ヽ _       _ _li
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402  名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2021/02/27(Sat) 13:29:39 ID:c8326cf7



  三匹の内、二匹は大きく一匹は小さかった。
  
  男はネズミと話をした。 何でもネズミたちは外の世界で大変迫害されて、行き場もなく、諦めて死ぬつもりで
  
  竜の体内に潜り込んだのだという。 そうしたところ存外に居心地が良く、彼らは今日まで生き延びて、子供も一匹できた。
  
  ネズミたちにとって男は初めてのお客なのだと言う。
  
  どうかおもてなしをさせていただきたい。 彼らはそう言ってチーズやパンのかけらを取り出して男に差し出した。
  
  それらはどれもネズミにとって都合のいいサイズだったから指先ほどの大きさしかなかったが、
  
  男はネズミたちを可愛く思い、素直にそれらを受け取って口にし、感謝の念を告げた。
  
  「こんなにおいしいものを食べたのは生まれて初めてかもしれない」




                    __
                    ,r:":::,:-、`'::.ー:、:--―ー-- ...、
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                     ´ ̄     ,ィー-''寸"
                               ´´  ̄




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403  名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2021/02/27(Sat) 13:29:39 ID:c8326cf7



  ネズミの夫婦はおもてなしが上手く行ったことを大変喜んで、男に尋ねた。
  
  ここまで一体何をしに来たのか、あなたも外の世界では迫害されているのか。
  
  そう尋ねられて男は困ってしまった。 竜を殺しに来たと言われればネズミたちは困るだろう。
  
  この夫婦にとってここは唯一の安息の地なのだ。
  
  それで男は自分も同じように逃げてきたのだと嘘をつき、しばらくそこに留まることにした。
  
  そうして無為の時間が一か月ほど過ぎていった。 彼は結局諦めて立ち去ろうと腰を上げた。




                              ``ヽ、
                              __ヽヽ
                         , -‐' "   / jノヽ、
                            ,イ, ィ   , ./`゙゙¨フ i ハ
                      彳フ/  //   ./ /  .!
                            i/   /jフ=、_   // |  .|
                        √   /./弋ン  ` /ィァェ  i
                      〉  / /      、弋ノ   !
                        /i /、           ′/  , |
           i⌒ヤ  j⌒ヤ    〃i /:八    ´ ̄ 丶 /   / リ
   ,ィヽ、    ヤ ハ   i   i    7⌒イ i __,|\      /  /′
  ヽ   \   .ヤ .ハ .|  i,イテ-イ:.:./://///7ヽ,、__ イ〃/
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、   > \   \!   ヾ  i,:.:.:.:.',:.:.:.i///////!_///////)ノ:.:.:.:.ヘ
 >、   >、    、,,     ヽ:.:.:.ヘ:.:.i///( o  oヽ///:.:.:.:.:.:.:.:.〉 ̄~ヽ
    >、   \        ヘ:.:.:.ヾi//////i¨!--'/:.:./:.:.:.:.:.:.ノ:.:.:.:.:.:ヘ
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404  名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2021/02/27(Sat) 13:29:39 ID:c8326cf7



  そこへネズミが声をかけた。 あなたは悪い人ではなさそうだから、頼みたいことがある。
  
  この子を外の世界へ連れ出してくれないだろうか。

  男は驚き、しかし外の世界は過酷なのだろう、それでいいのかと問いかけた。
  
  ネズミの夫婦は神妙な顔をして答えた。 我々もできればずっとこの子を手元に置いておきたい。
  
  でもそれが理にかなったことではないことも承知している。 このままではこの子はパートナーを探すことが出来ない。
  
  異性と出会い愛し合うことはこの世でもっとも崇高なおこないの一つである。
  
  我々はネズミの誇りにかけて、この子を外の世界へ送り出すことを決意した。
  
  ですからどうか、連れて行ってもらいたい。



                           、,.、: : 、,_、:
                       .i` 、 ´: : ``゙"'、
                       `.-`    : : :  :ヽ
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                       ,!: :       .、:/ノ\
                       │: : :   ,,,,_、,ン/′
                       !: : :     .,、 `i、
                       ,l゙:  : : 、  l゙  `'、
                      ,": : : : :  '、     .l゙:i、
                      ,":  ヽ,,,_、 `i、    l゙、゙l,
                     ,!: :     `"'''、'丶 : 丶"
                        ,′:   ''"‥、 `   : ゙l
                    丶: : : : :    : `、    ゚:
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                    '、: : : : : : : : : : : .,!    ,!
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405  名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2021/02/27(Sat) 13:29:39 ID:c8326cf7



  それを聞いて男も本当の所を告白した。
  
  自分は実は竜を殺しにここへ来たのだ。 この美しいガラスの容器を砕きに来たのだ。
  
  するとネズミはショックを受けたが、やがて仕方がないこととしてそれを受け止めた。
  
  ではこのガラスを砕くとよかろう。 いや、その前に我々夫婦を殺すとよかろう。
  
  男はネズミたちの決意の強さを知ると、まず彼らを殺した。 ただし殺す前に、子ネズミの眼を手で覆って見せないようにした。
  
  それからガラスの容器を砕くと、子ネズミを手で持って竜の外へと脱出した。
  
  夢はそこで終わった。


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           , -'      //
         /'" "--_,,..-‐''i i /`゙'' 、
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      ,、、__ /      i、     ヽ、    ヘ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.〃:._,,..-‐'ヽ、
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    ,,,/:.:.:.\..ヽ.ヘ    弋ヘ,_ヽ, 〈, <丈シlヽ   、ヘ 、:.:.\:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.\/
  /:.i:.:.:.:.:.:``'、.ヽヘ   i-¨      ̄__lヘ 、  ヘヽ:.:.:.:.:."l:.:.:.:.__,,.. .-‐ '''""~_フ:.:.:.:.:.:.:./ /
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 ヘ _,,..-‐'''- .., \ ヽ. ヽ.-‐'''""~        _,.、-''./   /:.:.:.:.:.:.:./   ノ:.:.:.:.:.:.:/ /   /:.
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406  名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2021/02/27(Sat) 13:29:39 ID:c8326cf7



  だから自分は確かに竜を殺してきたのです。
  
  男がそう言うのを聞いて、花嫁の父親は激昂した。 こいつは口先ばかりで何もできない腰抜けだ。
  
  よくもそんなホラ話を聞いて俺が結婚を許すと思ったな。 しかしその話を聞いていた老人たちは父親を諭して言った。
  
  そうは言ってもこの男は国中を旅してきたのは確からしい。 それは他の様々な土産話や疲労困憊した様子から明らかだろう。
  
  その苦労を酌んでやってはどうか。 そこで父親は別の試練を課すことにした。
  
  村長の家の地下にある洞穴の奥まで行き、一番奥にいるというありがたい、巨大な蛇神様を連れてこい。
  
  それができたら結婚を認めてやってもいい。



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407  名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2021/02/27(Sat) 13:29:39 ID:c8326cf7



  男は村長の許可をもらい洞穴に潜り込んだ。 数か月前までは女の呪術師が棲んでいた場所である。
  
  彼女も棲み処としていたのは一定の場所までで、それ以上奥には進もうとしなかった。
  
  男は明かりを持ち込んで、その限界を越えた危険な領域まで進んでいった。
  
  洞穴は複雑に入り組んでいたが、男は道しるべとなる木っ端を置きながら先へと歩を進めた。
  
  だが進んでも進んでも蛇は見つからない。
  
  やがて男は一つの穴に行き当たった。 身をかがめなければ進めない狭い穴である。
  
  男はそこに蛇が潜り込んでいるかもしれないと思い、穴に入り込んだ。




     .ゞミ ノ"''ー-、,_i   ,/''-,i_,ii__,i ! ,! 、 "    ノ   ,,-、  、    ノ
     l /   /  ゙i  ノ"'ー-,=ニ 」, '、,,し‐''冖'''''"、..-"  .`'--''ー,/ |  |
     / l / ー゙.-..,_ レ″  ,ゝ i゙\   .,,ノ゙' 、,,し‐''  `'ー..,_,.イ    {  l
    ,;! .] | ノ   l j  〉   `7   `i.、"゛^'‐'''"´__,、_l」..:イ /    `゙"|
     _,.ソ li|    ´ ノ     :!、   ,.ゝヾ;;;;;;;;;;;-ヘ   7   ,ゝヾ  /  し
     ゙l、 ノ゙  ,ソ  .}  〉   | !  i/  };;;;;;;;;L 〉 〈   / 、 ,j  「    ,'
   '''"゛ .、 "´    ゝ ,ゝ    | j }   };;;;;;;;;l  !  〉 l.、  y   !    /
     }  j .、   /  」    `'i   〉   l.:..:.:..‐-.L_/   ,!  l / し   √
   ヽ.  '"  }  ,!        /   i 」 /: ::.:.:.,;.:.. . ̄ ` く、│L l!l " ノ
     |!  |  .l   j   7    ,ゝ   ,」 /.:.:.:. :: :.::.  ,, -‐  `・i   .!  '!、
      |、.j   .ヽ   .}    `ヽ  l/..::. :: :           ':、 {   〈
     ,l`'く    /    .!       | ,=' :.:...:.:、.....:.,、,、......:.   ,.、  .`:〈   /
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408  名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2021/02/27(Sat) 13:29:39 ID:c8326cf7



  穴は次第に狭くなり、身を横たえて這って行かなければ進めないほどになった。
  
  男は難儀したが無事穴を潜り抜けることに成功した。
  
  しかし穴を抜けた先は急な勾配になっており、男はそこを滑って落ち、気絶してしまった。
  
  起き上がると明かりは消えており、まったくの暗闇が男を包み込んだ。
  
  男は混乱し、当てもなく洞穴をさ迷い続けた。 それはまったくの無為であり、同じところを回り続ける結果に終わった。
  
  一方洞穴の入り口では花嫁が男を心配し、男が戻ってくるのを待っていた。




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        rr‐ 、_____!L.    / /                        ∨/ / / ,∧
       \、 ` ̄ ̄ヽ\ ` / /                          ゝ=- ./ /\
        \、_____ \,/ ∨                             |  ____,イ
           ̄ ̄ 7 \_l!/                             `7ニ=  ̄ />
               \/                              ∠ ̄ ` 〃`'´
                                            f二´__,/´
                                            ` ̄ ̄ ̄´

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409  名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2021/02/27(Sat) 13:29:39 ID:c8326cf7



  しかしいつまで経っても男は帰ってこない。
  
  異変を察知した女は、呪術師の連れていた蛇――彼はまだそこに残っていた――に頼み込んだ。
  
  お願いします。 私の夫となる男性を暗闇から導いて、ここまで連れ戻してください。
  
  蛇は彼女の依頼を了解したのであろうか。 洞穴の奥へと姿を消した。
  
  さて、洞穴の奥にいた男は、やがて足元に動物の気配を感じ、それを手で探った。 蛇のような縄状の生き物がそこにはいる。
  
  その蛇らしきものは男のそばを離れずにぐるぐると回るので、男は蛇のしっぽを掴んでみた。
  
  すると蛇は力を入れて男の手を引っ張った。 男は蛇に導かれ、洞穴を再び進み始めた。




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          /  i: : : !: : : : l : /`ト、:! !: : : : : : :l:lヽ : : : : :lヽ : : :l : : : : : : : : : : l : : : : : : : l
           l: : : l: : : : :l:/  '; : lヽ: : : : : : ハ! \: : :_L ';_:_:l_: : : : : : : : : : :l : : : : : : :!
               ; : : :l : : : : l ィ伐ラぅミ、`: : : : l -‐ _¨ ̄: :l V: ハ: ̄ l: : : : : : : !: : : : : : : : l
             '; : : ト、: : : :i` ト、::r┘`V : : : l  ´ _二..ェz、∨ ',: :/: : : : :/: ; : : : : : : : : :i
             V: :l ∧: : :'. 弋辷l_  V: : : !  '´lィ::::::ハリ\  V: : : : : /: ∧: : : : : : : : :l
              ヽ:{/ : \: ゙、       ヽ: : l.   ヒ辷_フ  ´  /: : : :/ :/l } : : : : : : : : '.
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 `ー-. . .-:‐: : '": : : : : : : : : : l : : l:、      `          ´ ̄  l: : :.l‐:': : : : : : : : : : : : : : :∧
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    `二ニ=-‐: : : __: : : |: : |: : |.: : : :\  丶       ,  ´   ; : :,': : : : l : : : : : : : : : : : : : : : \
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          / ̄ レ'、 l/ l: :l '; : / V!: ∧: |:ヘ:|  _,,.. ::<´::::/: ://j/、 l/  }: : /|: / ヽ: :';\: :
          /       \  !:.l ∨/ レ':::::V::::::| ̄::::::::::::::::::::/: :/    />j /: jノ   \! `

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410  名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2021/02/27(Sat) 13:29:39 ID:c8326cf7



  時間が経った。 どれだけ洞穴の坂を上り、どれだけ曲がり角を曲がったか分からない。
  
  男はそれでも辛抱強く暗闇の中を蛇と共に進み続けた。
  
  そうしたところ、やがて光が見えた。 元の入口へと戻ってきたのである。
  
  そこには女がいた。 男は女と抱き合って、その場で接吻を交わした。
  
  二人は蛇に感謝を告げようしたが、すでに蛇は去っており、どこにも見当たらなかった。
  
  二人は事の次第を女の父親に報告したが、やはり父親は激昂して結婚を認めなかった。
  
  それではお前は結局蛇神様を連れてこれなかったのではないか。 目標を達成できずによくもおめおめと顔を出せたな!



                  〈 / .::_  / .: .:/   ..;:.  .::.   、―=二   ヽ レ'^{
                      ∠二ニ.:  ̄ :/ .: .:;   .::.|::. |::.:.  ヽ:. :.    ̄ ∨  j
                 / /   ::   .:′.::.:.l|   .::.:.|::. ト、::.:..   !:. :..       ′ /!
                   / / .  .::. ; .:| .::| .:l !  .::.:|::.:..  \::  |..::. :..     . V⌒;i
                 ′.′:  .::. |.::/}.:八::| l   .::.:.!、::.斗‐弌:::卞::.:..::   . i: l   i{
                   i :| .:: ::.:..l|;T Π¨Πミ  .::| ヽ.::{   \い::.:.i   : l::. |  ハ
                   l ;{ .::. ::.:..小{__j{_j{_八 ..::.|  ヘ孑七..庁ミ刈  .::. ;:.:..|‐く  .
                   | /| ..::.:; ::.:.|爪 灯..圷ミ 、 .::.|  灯r廴rリ ノ リ ..::. ;|.::.; 丿 ;
                   {′ ..::.;{ ::.:..:{   以:近   \{   └―┴  ′.::.:..:ノ}::厂  |
                   八:.i:〉、.::.乂                /..::.::.:/|::i:/     |
                   ヘ|l :\:トミ       l           ノ イ/::.:..!ノ′.   八
                        八 ::.:.介                  ‐介 .::.:.|.::.:.. :.    ′
                    /  ::.:.l込        ,____,         イ¨} ..::.:..八::.:.. ::. :..   、
                      /  : ::..V::.〉、       ̄      <!...::/ .::.:./..::.:..::.:..::.:.. ::.   \
                _乂   八 ::.:.'::.:..:个:...          イ  {..::. ::.:/::.:..::.:..::{::.:..:、::.. トミ  ニ=ー
            ー=二..:..:/ .: ハ .::.|::.:..::.:__≧  ___  <   儿」 .::.;..::.:..::.:..::八::.:..{\乂_
      ベ¨ ̄ ̄ ニ=-   ー彡/./|::., ::{、::|:{⌒`┴‐-  __   _ 斗‐ }..::.ハ::.:..::.:./  \{  ` ー
    /   \        く  ̄   }八.::い|、}       | /    ,..::.;..::.い::.:./    `   -‐━
        }         \  j ヘ::’ }ノ^ヽ        ∨    V.::.:;{ハi !:/   ,  '~
    〉   {            \__厶:.V^丶 二 ー 、___   イ.::.八 丿 }′ /
 〕 ̄`     {    ̄ ̄   、   }    ヘ:i         ̄∧  l二 イ.::/  `T ¬チ
 {      ゝ ⌒ヽ       \ }    `、      / ヘ__,八 , :/   j   {   , -‐  ~  ̄
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411  名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2021/02/27(Sat) 13:29:39 ID:c8326cf7



  村長が両者の間をとりなした。 無事にこの青年が戻ってこれて良かったではないか。
  
  少なくとも青年の勇気を試すことはできた訳だし、結婚を認めてやってはどうだろう。
  
  だが父親は認めなかった。 もしも二人が結婚するのであれば、自分は死ぬしかない。
  
  女が怒って言った。 ならお父さんが死ねばいいのよ。
  
  二人の間を緊張が走った。 しばらくの無言の後、父親は厳かに口を開いた。
  
  決闘だ。



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            ./          .∧                ゝ
              , -‐        /: l  iヘ、            .ヾ
            /./     / ./:   | .|: |              ヽ
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             /// /:、|/: | /::、.__, -‐'':| |  |.|:__,l、        │
            /' //\.|\|/ 、 __,, -‐' |__,-‐| __l iヘ、        .|
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412  名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2021/02/27(Sat) 13:29:39 ID:c8326cf7



  ワシはこの男と剣の決闘をし、負けたら二人の結婚を認める。
  
  かくして恐ろしい戦いが始まった。 真剣を用いた命の取り合いである。
  
  村長がその果し合いの審判を務め、二人は真昼の広場に立ち、決闘の開始が宣言された。
  
  花嫁は手で顔を覆い事の成り行きから目を塞いだ。
  
  男と父親の力は拮抗しており、二人とも体中に傷を負いながらも激しく剣を戦わせた。
  
  汗が飛び、血が地面に振り撒かれる。 やがて二人とも大きな傷を受け、動きが鈍くなった。
  
  そろそろ戦いが終わる。 観衆が固唾を飲んで決着を見守ろうと集中したその時である。



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          i| |l!1!|!l|!l!.        /: : : : : :./: : ;i┐ / V |`´^|    ヘト _ノ.    |l!1!|!l
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    i    i.|| |l!1!|!l|!l!.     /: : : : _彡'/二γヽ== ___/  〈.イ  ,xく\: l.  |l!1!|!l |!i
    l    l:|| |l!1!|!l|!l!    , ': : : : :'´: :/二二ニiト、 __,  ',  ヽ , r': : : :{\:.} . |l!1!|!l |!l
    l    l:|| |l!1!|!l|!l!.   /: : : : : : :/二二二二二〕iト,  i ヽ ゚,  ` <:.V:「  |l!1!|!l |!l
    l    l:|| |l!1!|!l|!l!   j_: :.-‐:./__====== <ニニム||ム 、   , iト _ ): |.  |l!1!|!l |!l
.    l|.i  .l:|| |l!1!|!l|!l!-=≦: : :>'´<二二二二二>ミ_||二ト __ :i ∨|:._彡'   |l!1!|!l |!|.i
.    l|l|   il:|| |l!1!|!l|!l!: : :.>'´::从∨:::|二二二二二二ニ|辷二二二i  ゚,.イハ.    |l!1!|!l |!|.|
.    l|l|   il:|| |l!1!|!l|!l!/:::::::::::::::::::\、|ニ=-冖===ニニニニニ!:::::::Y}∧__}: : 〈.    |l!1!|!l |!|l|

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413  名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2021/02/27(Sat) 13:29:39 ID:c8326cf7



  男は剣を投げて戦いを放棄した。 彼は実はずっと手加減をしていたのである。
  
  全力で剣を振るっては女の父親を殺してしまう、そう思い、ためらいながら戦っていた。
  
  そうして彼は結局、恋人の父親を殺すのは忍びないと思い、剣を投げたのである。
  
  父親は悠然と男の前に歩を進め、上段に剣を振るい、それを無情にも男の首目掛けて振り下ろした。




                       _,,,....-::::,,..-;:'
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                  -'^               \`,`,;⌒`;・",;+
                >                    ミ`+,;:;"・ヽ` `
               :"  ._=__            ヽゞ,:;*ヾ"`丶 ┼
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                             i|   ,/";:`, 、 丶
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414  名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2021/02/27(Sat) 13:29:39 ID:c8326cf7



  だが剣は突き刺さるその直前でピタリと動きを止めた。
  
  「結婚するがよい! そなたこそはまれに見る人。 勇気と慈悲を備えた、まことの男である!」
  
  父親はそれだけ言うと剣を投げ捨て、その場を立ち去った。 男の周りを村人たちが取り囲み、彼を胴上げした。
  
  それが今回の結婚の事の次第であった。
  
  村長がそう語り終えるのを聞いて、私は興味深い話だったと礼を告げた。




         /     /      |i       `、
.        /  ./ .′  /    |i      ',
        ′ ′ .|    ′   .ハ i∧ |  |                              _, -7
.       |  |:   | i. |.    /  ∨i:∧ | | 乂                              /二/
.      |  l.   ∨| |   / ___ ∨i:∧\/{⌒                         /ニ/
.        |  l.  |i∨ .|   /,____ ̄\从 xァ>                        ,二/
       |   l  {i^∨| .:' 乂(ツ__ ヽ   {"|                            /ニ′
         |   l { ニi∨ /     ̄      ヽ                            /ニ/
       `、   |ト、r)Ⅳ           ノ                          /ニ/
        `、 | )ー┐          /                       /ニ/
.           `、, ./  込、      < _ア                            j^i/┐
             }/    l>..._     /                          / /  }
            __j___    l   ニ‐r一 "                          / /  j┐
          「二二二ニ=-.....,,___j_                        _/ /   ′〉
         〈二二二ニニニニニニ|                       /         〉
      _ -=ニニニ=- _ニニニ〕iト=二、                      }      / )
     /ニニニニニニニ\ニニ(Cc。_ニ\                      〈         / 〉
.    二ニニニニニニニ=_ニ=川└CCcr)=- _                  |       /
    二ニニニニニニニニ=_ ニニニニ=_)\ニ=_                   _j       /
     |ニニニニニニニニニ=_ ニニニニ=_ニ=_ =_              ,-=<ミ`丶、  ./
     |二二二ニニニニニニニ=_ ニニニニ=_ニ=_ =_            /ニニニ\ \/
     |ニニニニニニニニニニ=_ ニニニニ=_ニ=_ニ|          /ニニニニニ=_ .〉
     |二二二二二二二ニニニ=_ ニニニニ=_ニ=_ニ〉       /ニニニニニニ=/
    |二二二二二二二ニニニニ=_ ニニニニ=_ニ=_=\      /ニニニニニニニニ〉

415  名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2021/02/27(Sat) 13:29:39 ID:c8326cf7



  宴会は続いた。
  
  私は代わる代わる村人たちを隣に座らせて、花嫁や花婿の話を聞いた。
  
  楽しい時だった。






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   彡*゚ーミ ,  ̄ ̄ ̄ ̄Ψ ̄ ̄ ̄ ̄ `ヽ(∀`* )_          ヽ n‐`ノ
   と y )つ∇ (Ξ)  ゙┴ ゙(EE)∇   と ~:~  )||         ( ノ⊂)
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416  名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2021/02/27(Sat) 13:29:39 ID:c8326cf7



  やがて太陽が没する時が近づくと私は改めて花嫁と花婿に祝福を告げ、それで結婚式は幕引きとなった。





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                      / ー'' ∨ }l/         ∨三三三三三三
                      ,   , ,.ィ{_ノ / 、          ∨三三三三三
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417  名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2021/02/27(Sat) 13:29:39 ID:c8326cf7
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418  名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2021/02/27(Sat) 13:29:39 ID:c8326cf7



         それから一ヶ月後のある晩のことである。
         
         私は長い夢を見た。







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      ,.. --- 、//∧          /                  ,イ
    ,  ´     |// ム   _      /|              //
 ,. ´     ___ {////r////}     /:::|           _,..:::::::::/
/   _,---イ ,-、/ ̄\/⌒ヽ////}   /:::::{          _,..::::::::::::::::/
{_,.イ_\__/: : :.\: : : : ヽ: \/ イ  /:::::::::\   ,....::::::::::::::::::::::::::(
イ rv'/: : : :!: : : :\: :\:__: :.∨: \{  ':}:::::::_,..>:´:::______\     _.. -―- .
_{/,: /: :./: :|ヽ、:__: :∨: :|,ィ}:l: :|: :}: :.} /:/-={::::::::::::::::/           ̄ ,  ´      `ヽ、
: /: :|: :/{:∨_,从 : : .|: : |_ノ:{: :|: : : / {/::::イ\:::::::::::{              /
`ヽ、{: :l ∨.  ..,.,.,ソ|: : |: {,>―-' 、_\::::::::__}--::::_\  ______,. ´              ',
   `从、___   :.:.:. |: : |∨       ` <::イ ̄   `\:.:.:.:..:.:.:./                  ',.、
       ヽソ、_ _,ノ 从:.{/           ` ー―――--  ´      _                :. \
 \      `ヽ:.: ̄/     _,...::' _                     >- 、           ヽ ヽ、
   \    「:.:.:.:.:.:.,:'     /-、     ヽ                          \               ',   、
    \   |:.:.:.:.:, ´    /:.Y:.:ヽ.     :::...           _,.....--:.:.:.:.:.:.:. ̄\            ∨\
、      \ !:.:.:./    /:.:.:.|:.:.:.:.ヽ    ____      ,..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.`ヽ、  _rー-=⌒ヽ、:.:.:\
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419  名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2021/02/27(Sat) 13:29:39 ID:c8326cf7



  夢の中で、私は両腕をなくしていた。
  
  神殿はもぬけの殻だった。
  
  私は困り果て、アサクラやいつも仲良くしていた神官たちを探したが、どこにも見つからなかった。
  
  扉を開けるのも一苦労だった。
  
  神殿を出て私は旅をした。
  
  馬も操れないから、徒歩である。


                                _
                           /    `ヽ           `ヽ
                              /       '.                i
                          /         '.            |
                            イ          }     /     |
                        ,' l             |               |
                          / i.           |       、   |
                       /   .          ト          ヽ  |
                         /     '.         |  \       ' |
                       ;       .        |   ヽ        '|
                       ;′      i       |     :.        }
                       ;        l       |       .     .:.;:〉
                      ;        l       !      i     '´
                      ;′      :.       :      ..; _ . ´
                     ;        :       ,!      /
                       /         ` ー--- '     ::;j
             _   ニ=‐ '               - -‐  ^´
          .  ´    /              イ
         '                      人..   _
       /                         /         ` <
       !/                      /             .`
      /                          /.                `ヽ
      ,′                      /                      i
     .                    .,;イ__ ____ ___             .|
                           , ゙´           ̄  -‐-=ニ. _|
.     !                      /                          ‐.-
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     .          _    ´                                 i
      、                                               |
      \                                            ノ
         ー

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420  名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2021/02/27(Sat) 13:29:39 ID:c8326cf7



  私はやがて一つの村に行き当たった。
  
  そこには人々がいて、私を助けてくれた。
  
  失くした腕を求めているなら、村の占い師に会って占ってもらうといい。
  
  そう人々が助言するので私は村の背後の森を訪ねた。
  
  森の奥には大きな屋敷があり、そこでは占い師が私を待ち受けていた。
  
  占い師は、私が処刑した、あの両腕のない女だった。



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421  名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2021/02/27(Sat) 13:29:39 ID:c8326cf7



  女には現実と違って両腕が備わっていた。
  
  「腕があるというのは良いものだな、なんでも掴むことができて」 女はそう言った。
  
  私はどこで自分の腕を失くしてしまったのだろうと尋ねると、女は竜を組み立てよと言った。
  
  殺された竜がいて、お前のことを待っているはずだ。
  
  それで私は森のさらに奥へと進み、山を登った。
  
  山の頂上には大きな三角形の石があり、それを肩で押してどかすと、その下には竜の骨が土中に埋まっていた。



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422  名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2021/02/27(Sat) 13:29:39 ID:c8326cf7



  私の横には女も付いてきた。
  
  私は女に竜の骨を掘り起こしてもらうと、それを組み立てる作業に取り掛かった。
  
  私は人骨については詳しかったが、竜の骨を見るのは初めてだったので、非常に戸惑った。
  
  長い時間、私は苦闘した。 女に協力してもらいながら地面に骨を並べては取り戻し、並べ直すという作業を繰り返した。
  
  次第に私には竜の骨格の全容が見えてきた。
  
  そしてこれが正解だと思われる順に骨を並べた。
  
  すると竜の骨にたちまち肉が付き、起き上がって私の顔を見つめた。




                 ,
                _,.ィシ   _,. -ァ―、
           _,ィイ}_}ノ'_xイ´ _ ヾ_
        _,ィイ}ノノ'´xイー≪´   (
       ,、_/,_ァ 二ニ=-      `モー―>                                 __,ィ
     r' _、_-ァ―=< _}_ノ    `=、_ (                         _      __,ィ>'
.      ヒニヽトヽ= .、、ミミ   ゙Y    }  て _ ,,,. _     _     _二ニ=―‐‐ 二二_二ニニ二彡'<_
      ,',','}.}}.}`''ヽト、ミ、__'´   j`_r'´x'´  _ ,.>''´    >‐'´, ' ' ' ' ノ. ̄    二ニ=―――--=ニ二_`  、
      ',' 从}j     ̄.,'     .{ヾ X`γ´ ノ ___.>'''''''――‐ ''' ´―=ニ二二二二―――- _   ` - 、`  、
       '{.{,《リ      i/   ヘ,イ /  ,イ ̄r――――――ァ-----==ニ二二二二_ ̄ =― - 、 _ '' -  ` - ` 、
       {、','{{ト     |/   , 'γ  ,ィ´ : : `.i Y X Y Y ./   ,'  〉 `<   >、  ̄¨'' ‐ 、`'' - 、 ` x `  、   `ト、
       ヘ リ }}`,    ヘ/   { /  ,ィ '、' ;  } 〉  x‐ー-/  , '  ,  '  __`<  `>、    ` 、 ` 、 ` 、 ` 、 {
          リ '      \} .{{ .ィ' '、 \ : j.' r'´   /  ,. ' ,. '  X´    `.<  `>、     ` 、 ` 、 ` 、  `ト
           , , ; ; ; ;',',',',',', `x.!`‐{  i `i..ヾ_,.イ      ,'  ,'  ' _,,,,,,x'´_ ' ,    ` <  ゙>、      x  ` 、  ` 、i `
        , ; ; ',',',',',',',',',',',','.x―¨`'‐\_/ .ィ´,イ     |  r /`X.  !__.`<_ '  ,    `<  >、     X  x  r'ヽ
         '´´        /  x―''´ .{,ィ’ .}^ { ,',',',',', , , `<_   `.x_  `ーx`¨`<_'  ,  `<__\      X  X i  `
              x=''’x'ァ }    / ,' /' ̄, ,'///////,', , ,  ̄`x  ).==、  { , , , , ,`x  ',   V_{        X r`、
             ZZx‐''’ !/    ./ ,' / ' ','////////////,',' ' ' / ./ ,',',',' } ハ ','////, 〉  '  }__{         X、 ヽ
                   xx''''´   j’   ' ' ' ' ',',','////' x'''´  { ,',', _ノ   〉','////'   ,' ノ'´           ヘ,
                   '‐'‐’―‐‐'         ' ' ' '  '‐’―‐'   '‐’‐‐'´ '''''―――'''¨´                 ヘ

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423  名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2021/02/27(Sat) 13:29:39 ID:c8326cf7



  「私を蘇生してくれてありがとう。 私はこれまで数々の勇者に殺されてきた、あらゆる竜の象徴としての竜だ」
  
  象徴?
  
  「つまり、私はあれやこれやの御伽噺、神話に出てきたすべての竜の総和なんだ」
  
  私の腕はどこへ行ったのだろう?
  
  「それはもっとも思いがけない場所にあり、もっとも思いがけない形をしている」
  
  ありがとう、と私がお礼を言うと竜は翼を打って飛び去った。
  
  竜は飛び去る直前にその眼から涙をこぼした。
  
  涙は地面に落ちると青い宝石に変わり、私の眼を楽しませた。



                |               ,-―-、                     i
                i    _∧_        _|  __j |_                    !
           __ _人_ _ ∨   . <  ヘ、__ノ   > .          _ _ / \ _ _
               `Y´   o    . :个 ‐- /     ∨'′   i` : .             \ /
               ! * ゚   /   i     l:::\   /ヘ,     l __ \            i i
                     /⌒ヽ-―¬‐=ニ.._j::ニ=-‐‐-=ニz--‐‐1     i/⌒Y     ┼◇―
                   八   __,\  i::::> ´     !   : ` <,」  /.__   ノ        ! 人
                   ^ ー‐一'__ j '         :   /i/::::. 丶'/,ー‐一彡       `Y´
                 ,'> ´\,'//     、   i: ,  /   ∨/     ',         ∧
                    ;ヘ、   , ′    \  |::/ / ::.:. . .__ '/ヽ  /::        ∨
               i//\ / i      _ ニ=- !'___   -‐ ニ i///,>、::::::i        :
                |/// 丶 | -‐ ニ ̄ __;::イ \::::.:.:..:.. . .   |,/  \::|        ◇
                    k'    ∧   . : : :/ , 、__, ⌒ヽ : : : : . . ,'∧     !         :
                     v> , _/::::::、 / ‐-/ /_j:::::ir‐-、:::\--‐, //ム -‐=7
                V,/// ̄ ̄ト、  7 ;  ヽ::!   ir‐、::/,|     i:::::,′
                 ,ム=-‐―--| > .._    :|    _..<'//| r‐――-、
                    i      /i ̄ ̄∨/フ7'へ'7フ// ̄ ̄ ,-\     }
                   ゝ ___.. <:::::∧   ∨'     ´'v/    / ::::>ヘ ___ノ
             i        `  ハニ=-‐ \   / ‐-=ニ/> '′
          _ _人_ _ ゚ o       ` < __ Y´ ̄`Y __ > ´
           `Y´      ☆ 。           | ⌒i|
            i                    `ー―'


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424  名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2021/02/27(Sat) 13:29:39 ID:c8326cf7



  「なんと綺麗な石だろう」
  
  私がそう独り言ちると、両腕のない、いや両腕のある女はその宝石があれば立派な夫が見つかるだろうと言った。
  
  夫?
  
  そうだ。 人は成長すれば皆結婚する。
  
  でも私は女性しかセックスの対象にできないみたいなの。
  
  私が大変な勇気を振り絞ってそう言うと、女はいとも簡単なことのように頷いて 「そうか」 と言った。



                    ,. -―……- 、
               ,. ―<           \
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               ┌┴f⌒ヽ¨ー―-- __     \
        ___ム  V  ) ( ̄ ̄)  (⌒\‐┐    丶
          ∨///-=彳\_)_(__)__(__ノ  //⌒ヽ__)_
         ∨////∥: / : : : /:八: : : : :`、\(__/\ ノ    /
          \///{: ∧: : : ̄`ト \: : :.斗七\: : :}\_ /
           ⌒\(//\: ==ミ ``' ゝ=≠テ}: :从: :\\
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                  /: {: :从    _,. -v-、 /:/:/: :/: :) )ノ
                 _ 乂从: :个:. (:: :: :: :: :ノイ : /:/:/彡'
                 ヽ \l>ァ='`〕¨´ /{/-彡       .、
                   /   {{∵f⌒ヾ∵//  ̄ヽ
            /∧     ./  ∧/乂ノ∧〃Y   ゙:       )\
           ///ヽ   {   ..′ / ∧ヽ   ゙.    }:     / \\
       /////   \_!.  〈 〈  〉 〉  }   乂   ./ヽ\\\
      //////   ....__〕   \ /   人 /.    /\\\\\\
     / //////乂__ノ/}   {_¨      {/_{.     / \\\\\\ヽ
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.   ////  ̄ ̄`´      /   〔_      ∨ ̄≧=-\\\\\\\\\、
  / //            _人  _o〕  __ )',',',',',',',',','/ヽ/  ̄ \\\\\ 、
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           /                        \ \',',',',',/

425  名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2021/02/27(Sat) 13:29:39 ID:c8326cf7



  二人は街に出て結婚相手を募集した。
  
  この女を娶る女には青い宝石が贈られる。
  
  女がそう喧伝するとたちまち町中の女性が列をなして我々の所へ押しかけてきた。
  
  私はその一人一人と会って話をしたが、胸がときめくような相手は得られなかった。
  
  私が残念そうな顔をしていると、女は吐き捨てるようにこう言った。
  
  「理想が高すぎるのだ」
  
  私は怒ってもういい、と言って女と別れた。





                                      -‐    ̄ ̄_  、
                         -――‐- 、  / ̄ヽ´         /  \ ヽ、
                      /         /  へ__「 ̄`ーへ----ヘ   |  ヽ
                      /  __ ヽ、  /  /    |  ヽ  ヽ、  |  |    ',
                   /   /´___`ヾ、 | /  / |    |  l   l  |  |    i
              __   /   r'´,  、  、、\゙'.| !   l  ! |  |  l   l  |  |    |
     __ ⌒ヽ,r '´     ` 〈 /´ ,--、/ ヽ r‐!‐、`l | ! l l  ! |  |  l  _L.-!  !     |
  ∠/‐O‐/<ヽ/二二ヽ    V / / l!_|   |N__|_ l l | ! lT''‐L'、  |_|/イ_/! /!  !  l |
  Lr''´/ ̄`ヽ /l、、ヽ___|  |   トl/Vイ 。  l! 。  |l l | ! l !/l。:| ヽ/ /|。::ヽ、|  |  | |
  ////|! |_|_l 、 ! ト、 ´,-、|  l  ヽ \`| |ー,    ー‐' l | VヽN| l:: l     ! !::::::ノ/ |  |  | |
  !l l´!l ヽヽ | |N |゚' ゚‐''|  |)、、 \ 」 l、  --┐  / |   | |ヽ""丶--┐"""' |  |  | |
r―-、l ゚  ゚ ;// lr‐ヽフ |  | ヽー‐、.!、_,\`ー' _,../__/ ',  | | ト、  ヽ_ノ    . イ  ∧/Vヽ|
`(ヽ ヽト- //, (´  ト‐/ / /    | l | l`´r|     ∧. ! ! ∧ >- . _ イ´ l /::/:::/ヽ、_
  !`ヽ \/// ヽ   !/ イ レ' /   / / />´/_  / ヽ.|∧/Vヽ|_...,--、__| /|/::://::::::::::::`::....、
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426  名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2021/02/27(Sat) 13:29:39 ID:c8326cf7



  それから私は神殿に帰った。
  
  神殿には皆が戻っていた。
  
  この死刑囚を今から処刑台へ連れていきますよ。 アサクラがそう言った。
  
  私はアサクラや神官や死刑囚を伴って街の処刑台へと進んだ。
  
  だが腕がない。
  
  私は大鎌を振るうことが出来ず、処刑は執行できない。
  
  アサクラはそれを知ると失望した顔を見せた。 私はそれに耐えきれず神殿を出た。




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427  名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2021/02/27(Sat) 13:29:39 ID:c8326cf7



  私は砂漠へ進んだ。
  
  それも徒歩だったので、砂漠に着くころには靴はボロボロになって履けなくなっていた。
  
  砂漠には所々に陶器の破片が落ちており、私はそれを裸足で踏んでしまい足を傷つけた。
  
  「勘弁して。 私にはもう脚しかないのよ。 頼れるのは口と脚だけなの」
  
  私は全身汗みずくになりながら暑い砂漠を進んだ。
  
  砂漠の果てには天空に届くほど巨大な岩があり、その岩陰に小さな家屋があった。
  
  私はそこを訪ねて水を乞うた。



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428  名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2021/02/27(Sat) 13:29:39 ID:c8326cf7



  「すみません、水をください」
  
  すると中からは全身血まみれの巨大な男が出てきた。
  
  「お前は私の妻を殺した」
  
  男は正確にこちらに向かって剣を振り下ろしてきた。
  
  私はそれを紙一重で避けると、男のバランスを崩してやろうと両手を突き出そうしたが、それはなかった。
  
  私は転びそうになりながら小屋の中へと逃げ込んだ。
  
  中に入ると同時に足元から蛇が這い上ってきて体に巻き付いた。
  
  男がそこへ剣を振り下ろしたが、蛇はそれを口で受け止めて私を守った。



                           ,r-;ノ
                          ,/,r'    /!
                         ,!::::i,,,,,____,,,ノ::::::ヽ,,r‐'''''7     __
                         /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::`ー-‐''´/
                        ,ノ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::;r'
                    /!   !::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::`7
                   ,/::レ ''´:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::`、
                    !:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::`、 _,,
                   レ '´7::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::fヾ;!`ヽ、
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                   ,r'´:::::::::::::::::::::::::;r' `、 `、`;´ , ' ,/ l;::::::::::::::::::::::`ヽ
                  ,/;/l::;/!:::::::::::;r''ト、 `__`ヽ'; ,' ,r' ,ノ,ヾr、:::::::::::::::::;;;:`、__
                 r'''´ レ ,/::::::::::::`i l、 `ー-ゝ,r 、_ノニソ,' f´ ,!::::::::::::::::ヽ`ヾ:ヽ
                 l!   _,ノ::::::::::::::::::l,`l`i ,r''7/i  i `ー 、f´レ ,!:::::::::::::::::::::`.、 ヾ;!
                 l! ,r''´::::::::::::::;;;:::-‐i`'、i ,rヽi___,!ノ`,! ',/i ニ:;;;_::::::::::::::::::::::`i
                 _,ノ;r'!;;r‐'''''´    i  iヽ ,r‐--‐‐、 ,/i i   ''''''‐-:;_:::::トゝ
         _,,..-‐‐‐---‐'''''''''<      ....::i :: i ` ----- '´.::! i::..   ,/ `ヾ;!,,,,_______.r‐‐‐-..,__
      ,r''´ ,r‐'''´ ̄''''‐-、    `、 .....:::::::;::':..! ::.ヽ ` ....  ´;'::;! ,!:::::::..,r'      ....:::,r-  --- ,,_ `ヽ、
    ,r''´ ,r'´     ,,r‐'''''ー、 , , , ,::...:::::::::;'..::: ヽ:::.ヽ::.  .:: ;':::;' /:::::::::::::::::......    ,r‐'- ,_     `ヽ、 ヽ、
   ,r'’ ,r'´    ,r''´  , - ' ''‐- 、`ー-::;;_:::::... ..::ヽ.::.ヽ:......:::;'::::; .:/:.. :::::::::::::;;r'''''7_,,r<__    `ヽ、    `、 ヽ、
  f ,f´    ,r'’  , '       ヽ    ̄''''''ヽ'''ヾ、`、::::;'::::;';r'ー---‐''''''´ .::;f´    `ヽ、   ヽ、    `、 `、
  l ,i     f  , '        ,r’ー--   ____   ,ノー‐‐<  _,,r‐  --‐‐ヽ       `、   `、    ヽ l
  l i     i          ,r' '´     -‐-、 `Y    ,!''´   --‐‐‐  ヽ            ヽ    i !
  ,!i    /i        _,r''´ __,,          `ヽ,  ,r' ´        ヽ、 ` 、           !    ! .l
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429  名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2021/02/27(Sat) 13:29:39 ID:c8326cf7



  私は泣きたくなったが、涙は出てこなかった。
  
  絶体絶命だ、次は剣を受け止めることなどできない。 私は死を覚悟した。
  
  私は蛇に向かって、ありがとう、でもあなたも痛いだろうから、もういいよと諭した。
  
  すると蛇は小さな女の子に化けた。 女の子は私の肩を押して導き、二人は小屋の中を逃げた。
  
  外から見たら小さく見えたその家屋は、中は非常に広く、一つの城ほどもあった。
  
  背後から大男が迫る。 よく見ると男の眼はくり抜かれており、そこから血の涙を流していた。




               -──-  .,
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          /     /<二二二二二\ \
           |    :/二二二二二二二ニ\ \
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     ′   !   |ニ/ノ/ 斗ー/   .::/ /| |=-∧:.  ′
     ;    八 .:|/_ノ,./|.::/| / |  :/|/斗ミハ ハ,   }
     |      \|/〃:|/斗ミノ/  イ_)iハ ∨:|:::/   |
      |   \  \ |〃_)i:ハ       Vソ 八ノ/   :|
.    |       \  八乂)ソ     、  :::::: |:/ /
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430  名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2021/02/27(Sat) 13:29:39 ID:c8326cf7



  大男の剣の斬撃が私の後ろ髪をかすめ、私はゾッとする。
  
  私は夢中で女の子と駆けていく。
  
  赤ん坊の泣き声がどこかから聞こえる。
  
  それはどこから聞こえるのか?
  
  上だ。 私は階段を見つけると駆け上がる。
  
  上がった先は非常に長い廊下で無数の扉がそこには備わっていた。
  
  どこだ? 赤ん坊はどこにいる? 泣き声は一層強く廊下に響き渡る。




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431  名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2021/02/27(Sat) 13:29:39 ID:c8326cf7



  あの赤ん坊はきっと二人の子供よ。 女の子がそう囁いた。
  
  隣を見ると小さな女の子は成長し、私と同じぐらいの背丈になっていた。
  
  乳房もかなり膨らんでいる。 いや、見惚れている場合ではない。
  
  背後から大男が迫っているのだ。
  
  私は一つ一つの扉に耳を当てて中から泣き声がするかどうか確かめた。
  
  私はやがて赤ん坊の声がする扉を見つけて、それを開いて中に押し入った。



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432  名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2021/02/27(Sat) 13:29:39 ID:c8326cf7



  そこは暗闇だった。
  
  後から入ってきた女の子が後ろ手に扉を閉めた。
  
  すると明かりがまったく差し込まない暗黒の空間が現出した。
  
  私は女の子に肩を掴んでもらい、私が先導する形で先へと進んだ。
  
  あらゆる者が視線を拒否するこの場所で、頼りになるのは響き渡る赤ん坊の泣き声だけだ。
  
  私はその声が聞こえてくる方向へ歩いて行った。 次第に空間は狭くなり身を屈まないと進めなくなった。



圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭
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433  名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2021/02/27(Sat) 13:29:39 ID:c8326cf7



  やがて穴はもっと狭くなり、身を横たえて這って行かなければならないほどになった。
  
  我々は這って先を進んでいった。
  
  女の子は私の足首を掴んでいてくれている。
  
  そうして匍匐前進を始めてから、随分時間が経った。
  
  暗闇の中で私は気がおかしくなりそうだった。
  
  ここはどこだろう? このまま我々はどこにも行きつかないのでは?
  
  一生この暗い場所に閉じ込められて我々は息絶えるのでは?
  
  出してくれ! ここから出してくれ!
  
  私の足は止まった。 女の子は大丈夫? 頑張ってと優しく励ましてくれるが、私のパニックは収まらない。




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434  名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2021/02/27(Sat) 13:29:39 ID:c8326cf7



  だがそんな私の鼻をチロチロと舐める小さな存在があった。
  
  私は驚いてあっと声を出した。 やがてぬるぬるとした感触が私の頬や首に伝わった。
  
  これは蛇だ。 私の顔先に蛇が現れたのだ。 蛇は私の顔先に尻尾を置いた。
  
  感触でそれが推察できた。 私は蛇の意図を掴むと、尻尾を口に含んで軽く噛んだ。
  
  蛇の先導が始まった。
  
  我々は蛇に導かれ、また長いこと這った。 やがて先に光が見えた。



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435  名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2021/02/27(Sat) 13:29:39 ID:c8326cf7



  進むにしたがって穴は次第に広くなり、また立っていられるほどになった。
  
  かくして我々は暗闇の道を脱して、一つの扉に行き当たった。
  
  重く、大きな扉だ。 私の代わりに、女の子がそれを押し開けた。
  
  まぶしい光が漏れ出す。
  
  はたして、扉を開けた先は広い草原だった。
  
  私は蛇にお礼を言おうとしたが、蛇はすでに立ち去った後だった。
  
  草原の真ん中には揺り籠が置いてあった。



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436  名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2021/02/27(Sat) 13:29:39 ID:c8326cf7



  赤ん坊の泣き声がそこから聞こえる。
  
  私は夢中で揺り籠に駆け寄ると、中にいる赤ん坊の顔を確かめた。
  
  顔を真っ赤にして泣き叫んでいる。
  
  私はその頬にキスをした。
  
  後から女の子も駆け寄ってきて赤ん坊を抱き上げた。
  
  気が付くと女の子はさらに成長して、私の背丈を越えていた。
  
  乳房もすばらしく大きくなっている。




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           {           \  \            \   /、__    ヽミ,      }  ヽ
           :            丶    、           ゚ . {     、__  }ミ   . イ≦ ∧
           :           丶 ゚.   :.      ,       \'        }ミ  イニ=-   ゚.
          {               ヾ\  ∧     `ヽ    rミ、_r、 .:ゝ      ゙/        :.}
         ∧                 ヾ ∧       :.  V    } `}>-_,.イ/        .:
            } :.          ̄ `   〉, ゚.       :.  ヽ / `>,イ /         /   }
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             > 、ニニニニニ=- ∨、        ∠イ‐ムイ‐'´   / |    /
                  ヽニニ≧=≦ニニ ∨丶              / :|_>´

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437  名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2021/02/27(Sat) 13:29:39 ID:c8326cf7



  私は無意識の内に言葉を発していた。
  
  「私と結婚してください」
  
  女は微笑むと声も出さずに頷いた。
  
  女は再び揺り籠の上に赤ん坊を戻すと、私を優しく抱きしめた。
  
  二人は互いの唇に唇を重ねた。
  
  「おめでとうございます!」
  
  アサクラが現れて祝福の言葉を述べた。
  
  次の瞬間には神殿中の神官が押し寄せてきて、拍手をした。




               />='ー≠=\    丶    ヽ   \
                 /::::::::::::::::::::::::::::::\    :           ヽ
             /::::>'´ ̄ 「 ̄Y⌒:ヘ    i    :      ',
             /:/、_人_.斗个 T^「⌒ハ    |    l       |
                レ'ノ   :i   :iー/‐i八-- ヽ  |    |       |
             j∧  : |  /j/ iリ  ヽ\l /   /     /   .|
             |l i f^ l八 / /.ィヘうた卞、 ∨i   /     /    |
             |i  ヽyぅ、    弋::r少  /  /     /i     |
             |l : ' 圦r'j     `    /  ./     / .l     |
             l!八. 丶 ソ     ::::::: / //   イ  l    |
               \ く          // /  / l   i    |
                 |>丶 、  フ  .///    /  l   |l   }
                 }    \     ((_/   / ^ト、 l   |i   八
                  /  i   \  .ィフ′/_..孑==ヘ_j   l:    ',
              /  /,'    ′ / / _.斗'≠┬i` ̄ ヽ    .
             /{ //   /  // /   / }::l    ハ     ヘ
           /  ∨/   /  (´ /   /  ..l::l    l:|      '.
          (   ヽ \ >i    ∨    /     l::l    l:l| '.   :. ヽ
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         r'  丶 '      乂ミ: :`ー‐z   ヽ   l:l    八::......     \    \ \
          {     i ヽ     _>─‐'     l    ヾ \〈  ヽ::.......    \    丶 \
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         l  ヽ : . ヽ: . . .   \丶____     }    l:l   l::....   丶:........     \    丶  \
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438  名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2021/02/27(Sat) 13:29:39 ID:c8326cf7



  「おめでとうございます、レミリア様!」 「なんという素晴らしい日でしょう!」
  
  大勢の人に囲まれて我々二人は結婚した。
  
  いつの間にか私には腕が戻っていた。
  
  それで私は女と手を繋いだ。
  
  そこへ両腕のない女がやって来て祝福の辞を述べた。 彼女にはすでに両腕がなかった。
  
  「結婚おめでとう。 腕はお前に返しておいたぞ。 少し借りたんだ」
  
  私は両腕のない女を抱きしめて、ありがとうと言った。



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          . . .-.―/.::.:.:. -‐z:.:.__:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ | : : :l  ィf" x≠ミ __       |:/ { ノ   }: : : : : :
       . :´: : : : : : : :{.!/゙´     <:.:.:―:.:.--リ: : : :',  〃心  了       jリ  Y⌒V /: : : : : :
.     / : : : : : : : : : : 从         ≧:.:.:―-:丶 : : ',   Vハ            ノ ノ ィ : : : : : : :
    /: :`: 、_: : : : : : : : {  -―-     `V:.:, - 、.:.:\: ',   夊ィ            ノ  /: : : : : : :/:
.  /:ヽ/ヘ : : ', `丶: : : : : :.  r‐‐、      ∨  - ∨:.:.:У                  γ⌒Y 、 : : : : / :
 /: W´ }_:_:_}_   \ : : : i  ん Y     j 〈   !:./                   ゝ _ノ ∨ : : //:
 { : || ´L:/    ∨ : }  リ /       ノ^Y }:丶       - 、         /      V: / : : :
 乂Ⅵ ィ冖v       V:ノ   ¨´           ノ /:.:.:.:.ヽ_ __ . '´/ }        ′     ∨ : : : :
     ', マノ      /             ___ノ:.:.:.:.:.:.:.:l:.`ヽマ′ イ      /        ∨ー<
    /         乂__    - 、        |:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.!.:.:.!:.:乂ー ´′   , '′            ∨ : :
   ( -   _、     └<, ´ ノ     / /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.′:.!.:.:.',:.¨.:.. - <:.∧             丶 :
    `Lr ´, ´ }       儿 ¨´     ィ /:.:.:.:.:.:.:.:.:.: ,′:.:|:.:.:.:',.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∧              ̄
     `V__ノ         ´  入_ ....<∧ ./.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∧_:.:.:|:.:.:.:.:',.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:〉
       ゝ          /:.:.:.:.:.:.:.:/:.:./:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./´  >  :.:..', :.:.:.:.:.:..> ´∧             ィ
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439  名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2021/02/27(Sat) 13:29:39 ID:c8326cf7



  「さあ、青い宝石を贈るんだ」
  
  私は身に付けていた宝石を取り出すと、掌に載せて女に贈った。
  
  女はにっこりと微笑んでそれを受け取った。
  
  二人はまたキスをして抱擁した。
  
  再び周囲の人たちが拍手をした。
  
  「ご結婚おめでとうございます!」
  
  女は揺り籠の上の赤ん坊を再び抱き上げた。 赤ん坊はすでに泣き止んでいた。



               ′      ///////////////// ∧  \
            /         /////////////////// ∧    、
             ′       ////> ''´、 ̄ ̄ 二ニ==ミハ     ヽ
           /   |    / ィ_,、_,八 { ` ̄´ ヽ \  ヽマ    :.
           /   |   /_ノ!  _|__ ヾ:、  -‐==}―- !、  /
           l    l   |  ィ'" !ヽ   \   | j  ハ, ||.ヽ/
           |    :.  ..イ{: |ヽ |  \   |イ /  ', | j V
           |    V |! |  \-‐ `:|  /j‐j/-  }ハ/} /
           |    :.  | |ヽ|x==ミ   j/  z==ミ:、/イ/
           | :.    ヽ | 〃                 `7ー /   /
          ハ \     / 、、、、        {     ``/ /     ∧
         /  、  \   \            /_. イ     /
            :\  `   ._\_   r   ̄   |.i´/ j    /
           /  \     \ ̄l`i  丶. __ ノ  |.レ′/    /
         . /     \    ヽ| ト 、   ¨´  .ィ´ヾ∨     /
         /        j/\     l |     ‐-   j、 /     ∧
                 /   i\   |` ー-v-‐ ´  V   /  :、
                 /   /  ,ゝ、 ∨/二マ     /  xく     ヽ
                /  _/xく  /\ }ィ个xヽ   〈 /   ヽ、    \
           -‐ァ7 ̄:::::::::::::ン   〉ノノ∧ハ \ノ\     \ー--


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440  名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2021/02/27(Sat) 13:29:39 ID:c8326cf7



  「そろそろ私は行かなければならない」
  
  両腕のない女がそう言った。 隣には大男が立っていた。
  
  私は頷いて、さようならを告げた。
  
  「最後に聞いてもいいかしら?」
  
  「なんだ?」
  
  あなたの本当の名は何て言うの?



                             _,,,,,,,,,,,,,___
                             _,,.-‐'''´      ̄`ー,-.,,__
                         ,r''´  ,, ''  ,r'      `  `ヽ、
                     . ,r''´ ,, ''   ,,r'´,. '  ,, '   ,     `ヽ
                     ,r'フ ,, ''   ..:;;r''..:; ',  ., '' , '  .;
                   ,r',r'’,,.'', '.:..::,r'7"..;: ', ' ..,::' ..;:'    ;';..
                  ,f /., ''., ' , ' ,r',r'’.:;:'.,.' .::..;:'  .:;:'   .: ;: ;::.
                ,/,イ,/ ,,/ .,f /..:::;/,/ ..:::;:'  .::; ..:   ..:::;: :;:::.   :.
                    レ/,i' ,イ ./ /.::;;イ:;i'.::::::;i ..::::;'..::   .:::;: .:;::::. :..  ::.
                    レ レ/ / /.::///i.::::::;i .,'.::::;:'.::;'::  ..::::;: .::;::::: :::::.. ::
                   i / ./.:/// ,!::::;i' ,.'.::::;'.:::;'::::  .::::;:. .::;:::::..::::::::::
                 _,ノ レ' f/ ,i`、;ii ,i.:::::;'.:::;i::::::. .::::::;:. .:::;::::::::::::::;::
             ┌-‐''´     `ーi、:;/i;/!:::::;i::::;i::::::::. ..:::;:;::..:::::;:::::::::::::;::
                 i        .、/ ヽレ !、::;!l:::;!l::::::::..:::::;:;:::::::::;:::::::::::::;:::
                  ヽ        `、/`、 !:`!:i:::!:i;i;:::::::.:::;:;:::::::::::;::::::::::::;:::
                  fヽ        `ー‐ヽ v`:!:l::l:::'i:::::::::;:;::::::::::::;::::::::::;::::
              ,! ヽ           !::i;!::l:::::ヽ::::::;:;::::::::::::;::::::::;:::::
                i              l :::::::!:::ヾir'、::;:;':;:::::::::;:::::;:::::;:'
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              i                 l :::::::! ::::::iノ ,/::::f:`:、:::::;:'::i::::
                 `ヽ、           l ::::::;! ::::::i_,/::i:::::i;:::::::Y::::::;!:::
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441  名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2021/02/27(Sat) 13:29:39 ID:c8326cf7



  女はニヤリと笑うと、贈った紙を開くといい、とだけ答えた。
  
  それで私はそうする、と返した。
  
  天空から大きな雲が降りてきた。
  
  女と大男はその雲に乗って空へ去った。
  
  私は隣に立った女と再び抱きしめ合ってキスをした。
  
  本当に良かった。 私はそう思った。





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                     |       /こ人         |:.:|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/
                    |           /ヽ,        |:.:|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: ,′
                   |        /:.:.∧       |:.:|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: ,′
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442  名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2021/02/27(Sat) 13:29:39 ID:c8326cf7
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443  名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2021/02/27(Sat) 13:29:39 ID:c8326cf7



  夢から覚めた私は以前女から贈られた青い木箱を開けた。
  
  中には一つの紙が収められている。
  
  私はそれを開いて中に書かれた文字を声に出して読んだ。





                       _____________
                          |:i:i:彡'´^ー'´       `ー'^゙''''ミ:i:i:|
                           |:i:i{                 }i:i:|
                      |:i:i:iミ:=:'从t、      ,ィ从:=:彡i:i:i:|
                      lニニニニニ二二二ニニニニニl
                       |:i:i:i:i:i彡气彡' | `ミハ彡i:i:i:i:i:|
                            |:i:i:if´   ォュ | ェ:、    `fi:i:i:|
                           |:i:i:i}    {{i:} | {:i}}    {i:i:i:|
                          |≪    $i:} | {:i$    ≫|
                         |:i:{`    $i:} | {:i$     ´}:i:|
                        |:i:i:iミ:、  r、` | ´r、  _,..イi:i:|
                       |:i:i:i:i:i:i:i三沁、 | ,ィ斧三i:i:i:i:i:i:i|
                          ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄



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444  名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2021/02/27(Sat) 13:29:39 ID:c8326cf7




              ┏━━━━━━━━━━━━━━┓
              ┃        ロザリア。         ┃
              ┗━━━━━━━━━━━━━━┛






                 /⌒ソ/⌒ヽ、
                  /  //    ..\      ._,
              /  //      .`ヽ,.._,ィ''´  `'ー- 、      /i
              /  //                  \,.   _..ノ .|
                /  //                     ⌒´   .|
            /  //                          |
            /  //                           |
              /  //                            .|
          /  //  .                          |
          /  //                             .|
         ./  //                            . |
        /  //                               |
       ッ芝ヾシ⌒ヽ、                           |
       .ヾニジ    \      ._,.イ⌒ヽ               |
                `ヽ,.._,ィ''´      `'ー- 、        .  |
                               .\,.   _., 、  . .リ
                                  ⌒´   \._,ノ


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445  名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2021/02/27(Sat) 13:29:39 ID:c8326cf7



  私はそれだけ読み上げて記憶にしまうと、影の谷へ赴き、青い木箱と紙を投げ捨てた。






                 ,   ,,   、,       ,,,,    ,l.l .!へ.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;;;;;;;,i"..,       ,,,,
 、,,          __ _ ,,   _ _v   、,,、,,           /;.l .!;;;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;;;;;;;;|,iチ..、,,     、_,,       _
  、,,_,, ,,               ,,_、 ,,_、,,_,, ,, . ,y;;/|| .!;;;;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;......;;;",! 、 ,,_ ,,    ,,、,,
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_,,                   ,  ,,_  _,,    .,!;'.! .,";;..;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;...;;;./.,,_         _ _,,
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446  名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2021/02/27(Sat) 13:29:39 ID:c8326cf7



  それから私は作りたい壺の絵を描いて、街から壺を焼く職人を呼び、それを造らせた。
  
  壺は口は狭いが大きく丸く膨らんでおり、
  
  真ん中に丸い穴があってそこから人間が顔を覗かせているという格好の装飾を施した。
  
  私なりにロザリアが出産した時の感動を形にしたかったのである。




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447  名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2021/02/27(Sat) 13:29:39 ID:c8326cf7



  一つ焼かせては出来上がった物を見て、変えてほしい所を再び絵にしてまた違うものを焼かせ、
  
  ということを我々は繰り返した。
  
  やがて造った物が十を数える頃に、満足のいく物が出来上がった。




                           r―、
                      ,, ――.、__ノ―-
                       (ミ-= ≦---≧  __>,
                            トニニニニニニニィ’
                  _,,,。srtノ    ̄""""" ̄  |,,,__
                      /罨覿駐sミニニニニニニ彡 '’ `゙ヽ
                      i{::::::::Ⅷ霸罨疇鶴殲ⅷ_;;;;;; =- ''::。s }i
                 i|::::;:::i:i霽℡i:i:     : : : : : ;, ,,, : : マ毯i
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                  {、:::::::::::鸞觀爛纐饑鑠草鑠饑数彡,,:鐸|
                 |へ-:;::::襷櫺鬚驍翩歡鐸饑讃数/ 晶”|
                      i{:;::::::::::“囓甌霽攀躊顫羈饑黔鷙㌢:::}i
                    'i,;';';';';;:::::”鸞霤㌘“囓鰾儼㌢::}竸”;::::}i
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                 ∧:::::::::::::::::”“:::::::::::::::歡}}i'::::,蠱"/  /
                     ∧:`::-=;;_::::::::::::::::::,蠱ij"_,蠱x,'=-:/
                   ヽ_::::::::::: ̄:""楚龕'""驫}i'::::::/
                    \"'::-=、、、::::衝'::;::;s篳::孚'
                           \_:::"":::””_贓_/
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448  名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2021/02/27(Sat) 13:29:39 ID:c8326cf7



  その壺は今では窓の傍に置いている。
  
  それで毎朝窓を開くときには壺の感触を手で触って確かめている。
  
  中に何を収める訳でもない。
  
  「それはただ容器としてそこに在るだけで充分だったんだ」
  
  私はロザリアの言葉を思い出して一人頷いた。




               r 、                              , ‐ァ
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          、⌒ヽ '. ', ',                           ,' ,'  ; , ¨フ
           '.,  '.,.}  ', ',ヽ                          ,イ ,'   !/  /
             '   ヽ  '., ', ',                     ,' , ,  ,{'  /
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                        ,'         | |       ',




To Be Continued.


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449  名前:◆NBJATnhEhM[sage] 投稿日:2021/02/27(Sat) 13:32:08 ID:c8326cf7
今回の書き溜めはここまでです。

450  名前:大人のやる夫さん[sage] 投稿日:2021/02/27(Sat) 15:59:06 ID:b0d34ca1