塔について III

レス数:450 サイズ:1183.21 KiB 最終更新日:2021-03-27 09:45:10

101  名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2021/02/26(Fri) 19:55:12 ID:71883176



  それから女は頷くと、くるりと背を向けた。
  
  女は小屋の奥からインクの壺と筆と紙を取り出してくると、私に背を向けて切り株の上に座り込み、何やら書き物をした。
  
  それから彼女は青い色をした木箱に紙を封じて私に差し出した。
  
  例によって足でそれを前に押しやった訳だが、不思議と彼女がそういう動作をしても下品には見えなかった。
  
  それどころかその動作は神秘的で、呪術的な力を帯びた行為とも受け取れるのだった。
  
  両腕のない女を見ていると、私は霊とは何かということを考えさせられた。





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102  名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2021/02/26(Fri) 19:55:12 ID:71883176



  これは何かと私は問うと、女は答えて言った。
  
  その木箱の中の紙には私の幼い頃の名前が書き記されている。
  
  ガウラとなった時に失った過去の名だ。
  
  あなたにはその名前を守っていて欲しい。 木箱は決して開けずにそのまま持っているよう。
  
  それができるならあなたと私は友好を結べるだろう。
  
  私は頷いて約束した。 決してこの木箱を開けたりしない。
  
  あなたの名は私が守る。 我々は友人になる。




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103  名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2021/02/26(Fri) 19:55:12 ID:71883176



  私は女に贈れる物がなにもないことを思い出して恥ずかしくなった。
  
  この村には旅をするのに最低限の物しか持ってこなかったのだ。
  
  宝石さえ身に付けてはいない。
  
  名前も、この女のように真名と呼べるものを我々の教えは持たなかった。
  
  そこで私は持っていたナイフで腕を浅く切ると、盃に血を垂らして差し出した。
  
  あなたに私の一部をもらい受けてほしいと私は言った。




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                             ξ

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                         ;;;#圭#;;
                       :;;;#圭圭圭#;;     
                        ::;;;圭圭#;;:
                     ;#;;


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104  名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2021/02/26(Fri) 19:55:12 ID:71883176



  女は受け入れてくれた。
  
  女は血を飲むと、これで交換は成ったと声に出して言った。
  
  いつの日か我々はまた会うだろう。
  
  私は女がそう言ってくれたことに深い感動を覚えた。
  
  土着の神や巫女と親交を結ぶのは初めてのことだった。
  
  というより、友達と言える者自体、私にはほとんどいないのだった。



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          ! ; l ;',ヽ ヽ、ゝ        i      ∠/,i .l ! '/,' i l,
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       / ,.' ; ; ; ! ; ; ; l ; ; ; ;r<_______________,.-`ヽ ; l ; .; ; !.Y ,!i ', ', ヽ
        / ,' ; ; ; ! ; ; ; l; ;_;,,fゝ、::::::::::::::::::::::::::::::::;;ノヽl ; .; ',l__V ', ', ', ヽ
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     ,! ,'  ,r'´: : : : ! ; ; ; !           ,'    _,! ;  !: : : : : :`、', ', ヽ
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105  名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2021/02/26(Fri) 19:55:12 ID:71883176



  我々はしばらくその場に立ち尽くしていた。
  
  私は別れを告げ、扉を開いた。 森を出て、村へと戻るのだ。
  
  そしてそろそろ神殿へ帰らねばなるまい。
  
  私は無断で神殿を飛び出てきたのだった。 アサクラたちが心配しているのは間違いないことだった。
  
  道行く背後から女の声がした。
  
  あの二つの壺は持っていくといい。 大事にしてくれると嬉しい。
  
  私ははっとして後ろを振り返ったが、もう小屋の扉は閉められたところだった。




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  |川 :i|  |川 ''"'''''           !|i: :ii|  |i: l川|`~^~^ !|川 :i|  |川 ''"'''''
  |川 :i| `~~~^.           .  wi゙|i: :ii|  |i: l川| |レ ' .  |川 :i| `~~~^.
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To Be Continued.


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106  名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2021/02/26(Fri) 20:21:09 ID:71883176


   #9

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107  名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2021/02/26(Fri) 20:21:09 ID:71883176




                 私は眼について考える。






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                 -‐                     \
.        厂 ̄ ̄`丶  {                       \
      !........................\}                          \
      ‘...............................}                             \
.         \..........................\     く ̄ ̄`丶                   \
     く ̄ ̄\...................._( ̄ ̄}  }\    \^r‐┐
.       \..........\___r‐く__)  └-┘  \_r--┘ }             |
          \/...../     /      |     { ̄\            |
.         /...../   、___彡        _」L._ j   \__ノ く ̄\       |
   ____厂`..../     /⌒7^   /〉   ノ  ∨\ |{___)  |     ノ
 く......∥..............厶 -‐ァ'^    |   / .′ /ァう恣ア^\|    r--┘‐--‐く
  }...{{.................‐--‐ヘ      | / r恣ノ{   }..ン丿 .丿     \_厂\___)
.  \.\、......................∧  / V  } .り     ^^/〉      |   {
    }...{{__................/  V  /    } 、      /    ./   ノ     乂___.ノ
.     \`⌒L._.....厶イ⌒V |   八   __   /       / /    |  |
      └-ミ.. {{....r-┘  人.   . . .  `  彡  /   / -‐‐-ミ  ハ丿
           \_丿        \/| . . \___ .  /  //       `丶-‐‐-ミ
                    И ハ   ハ厶イ /               }
                        丿イ[__ l   _」                /
                            /く (0)|  [_r' \          {
                        / _]乂i| [_r'   L._    r‐ァ⌒て__)
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108  名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2021/02/26(Fri) 20:21:09 ID:71883176



  人々の顔に埋められた二つの球体。
  
  それは面する世界を切り取って巧妙な絵を造り、我々に差し出してくる一種の装置だ。
  
  私はそれを用いて目の前にあるコップの位置を把握し、手でつかむ。
  
  あるいは人々との間の距離を測定し、他者の体と隔たりを保つことにも使えば、
  
  首の位置を見定めてそこに斧を振り下ろし、仕事をまっとうすることにも使うのである。





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           ̄ ̄  `   ==  、                    ,, ==   ´  ̄
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                   __                         _
              ,.オ三≧ュ.、 `ヽ                / _ .-≠≡≧‐-
             ≠ |ⅳ~|圭圭iミ. 、                ´ォ≦ォ圭i圷、|i `ヽ
               i!{  i!圭仞 キ|::ヽ                /: |{ {圭圭i! キi! ./
             マ、 ` ¨ ´ リ                    キ ゞ≠゙′,リ /
              ㍉、__ ノ                     マ.、_弋 ′
                   ̄                      `¨¨´





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109  名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2021/02/26(Fri) 20:21:09 ID:71883176



  眼がなければ我々は永遠に暗黒の縁をさまよい、互いの区別さえつかなかったであろう。
  
  眼があって初めて我々は距離を保ち、自分の領域を守ることに成功するのである。
  
  私。 それは眼と不可分のものであって、ひょっとすると四肢や口はただの付属物にしか過ぎないかもしれないのである。
  
  私は多分、世界の一部を切り取って目の中に吸い込みながら生きている。
  
  ちょうど私の口が息を吸ったり吐いたりしながら生きているのと同じように。



                            -=ニニニニ=-   -=ハ
                          -=ニニニニニニニニ=v=ニニニ l
                          lニニニニニニニニニニニニニニニ 7ニ7
                        _,ィニニニニニニニニニニニニニニニニ= 〈
                   r=ニ=-、 Vニニニニ ニニニニニニニニニニニ ニ仄=x
                  -=マ厂  ′ >ニニニ ニニニニニ ニニニニフ⌒ `  マム
                    -=ニ/    ((⌒iニニ≧====≦ニニ⌒)       マiム
               -=ニニ{       r== =ニニニニ=-らノ)ヽ        }ニニム
              /ニニニニ{      ノニ>'ニ ≦ 了 夲            jニニム
              ,'ニニニニニム。    r'ニZ ≦二ニニニニム。   _,.-= /ニニニニム
             ,ニニニニニニニニ>=--{ニ三7ニニニニニニニ ニ=-=ニニ7⌒ ,ィilニニニニニム
            . iニニニニ=---ニ=ニ⌒⌒Yニ ニニニニニニ ニニ<-=ァ-=ニニ==ニニニニム
            . ニ='´      Y lニニ==-Vj ニニニニニニニ} マニニニ/  `Y´    `寸ニム
            .ニ/        ゝニニニく三三三三三三〉ニニ〈  、          マニl
            ニ'          〈ニ=ク仁ニニニニニニニニニ=----ヘ∧_r、      マij
            7           Уニニニニニニニニニニニニニニニニニニニ」 L_     |リ
                    lニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニ辷l lニニニ==-
                   ./ニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニト-ニニニと´
                  r' lニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニ' /ニニて
                r≦ニ> Lr仁ニニニニニニニニニニニニニニニニ,、ニ//ニニニ{
                `⌒ヽニニニニ=-クニ7 -ヘニ><ニニニニニ!⌒ Z イニニ>'""`
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                            |ニニ| ニ「
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                                Ⅷ|fニニハ
                                  _}ニハ7 ハ「
                             {ニ 丁=''
                                V八j
                                ゞ=′

110  名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2021/02/26(Fri) 20:21:09 ID:71883176



  吸い込むこと。 それが眼の役割ならば、見られることは誰かの内に閉じ込められることに他ならなかった。
  
  そこまで考えると、私の脳裏には牢獄のイメージが浮かんだ。
  
  牢獄。 私の親しい仕事道具。
  
  人々はおのれの牢獄の内に見た者を蓄え、夜寝るときに引っ張り出してきては尋問をする。
  
  一度した会話を何度もくりかえし、同じ表情を囚人に取らせては満足する。
  
  それがおそらく、記憶というものの正体なのだ。



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111  名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2021/02/26(Fri) 20:21:09 ID:71883176



  次に私は眼の持つ不可思議な構造について考えてみた。 青い虹彩と黒い瞳孔。
  
  不意に私には、両腕のない女と見合った時の光景が思い出されてきたのだ。
  
  あの時女の眼は丸く見開かれており、内側に青い色をした一つの大きな円を含みながらも、
  
  さらにその中心には小さな黒い円を宿らせていたのである。
  
  つまり眼は三つの円から成る包含構造をしており、その見かけ自体がすでに何かを内に含むことを暗示しているのだった。



            
                          _.。ャぁて丕刀フ7ゎ。._
                       ,.ィ炙ヲ㌍≠┴⇒弍j込ス>。
                       ,ィ升ヲナ'´           `゙'<弖心、
                       ;夕フア´                \ホi心.
                   んfiУ                ▽ij∧
                   从j'Y                   ∨iハ
                      斤W                      ㌣い
                 |友カ                    }ソ川
                      い叭                   仄ガ
                    Wi从                  从ノリ
                     ∀t△                 ∧fリ/
                   ゙マじへ、             /リiУ
                    \夊i㌧、_             ,.イ!刋/
                     `マ才i「≧ェ。。.。。っ夭テ少'゚
                       `゚'' ミ芝玉竺壬云=‐'´
                                ̄ ̄



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112  名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2021/02/26(Fri) 20:21:09 ID:71883176



  両腕のない女の、あの瞳孔。 その夜を思わせる深い暗黒の色を思い出すと、私はなぜか安らぎを覚えた。
  
  この安らぎはおそらく何かに似ていた。
  
  それは月だった。 暗闇の中手さぐりで何かを探している時の、助けとも思える満月の月明かりが与えてくれる安心感。
  
  女の瞳が秘めているものはそれだった。
  
  私はしばらく輝く白い月について考えていたが、そのイメージは次第に円の曲線と膨らみに移行していき、
  
  最後には人の姿に化けていった。 人? いや、それは正しくは腹の膨らんだ一人の女性だった。
  
  妊娠した女性の姿だ。


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113  名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2021/02/26(Fri) 20:21:09 ID:71883176



  妊娠した女は自分の膨らんだ腹を愛おしげに撫でていた。
  
  すでに彼女は母親になるということへの戸惑いを克服した後で、
  
  もう産まれてくる我が子を喜んで迎えるだけの心の準備が整っているようだった。
  
  未来への素直な信頼がその姿からは読み取れた。
  
  きっと産まれてくる子は愛されて幸福になるだろう。
  
  さて、その女は急にこちらに気が付いたように私に横目で視線を送ってきた。



                     |  | _,r≧r-  < ト /  ノ /′.、 ヽ/
                     | ≦/:∠ }:      /  /> ._:::::::Y´
                 /ニニ/:/ 、 .:      ルN/: : :/}≧=::..
                仁ニ/:イ   `ヽ ...:: -─ /: : ://ニニニニヽ
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               }ニ/::/ニニニニニニニイ: : /ニニニニ/ニニニ∧
               ハ/: ::{ニニニニニニニニ}: :仁ニニニニ/ニニニニニ゚.
              {イ: : : :`≧=───=≦´: : {ニニニニ/ニニニニニニム
.              /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : |ニニニイニニニニニニニハ
            .: : : : : : :_: : : : : : : : : : : : : : : : : :{ニニニ{ニニニニニニニニ∧
              /: : : : : : : :  ̄ニ=- : : :_: : : : : : : : :ニニニr' |ヽニニニニニニ゚.
          {: : : : : : :-─=ニ二 ̄.: : : : : : : : : : :ヽニニイ  |  \ニニニニニニ:.
              .: : : : : : : :_:_:_: : : : : : : : : : : : : : : : : ≧7'  |   ヽニニニニニニ゚。
.             、: : : : :-===-: : : : : : : : : : : : : : イ: : : {   |      \ニニニニニ∧
               `7ニ=≦ ̄ ̄≧: : .:_:_:_:_:_: ≦: : : : ∧  |        丶ニニニニ∧
             {ニ/: : : : : : : : : : : : :、: : :ヾ: : : : : : : 、: ゚.|        /ニニニニニ}
.               }/: : : : : : : : : : : : : : ‘,: : :`>=─=ニ≦l.      /ニニニニニイ
               ,゚: : : : : : : : : : : : : : : : : . : : : : : : : : : : : : \   イニニニニ/
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114  名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2021/02/26(Fri) 20:21:09 ID:71883176



  斜めに曲げられた視線。 それは私を疎んで非難するものだった。
  
  彼女は顔はそのままに身をよじって、腹だけを少し後ろへ移動させてこちらを睨んできた。
  
  女は子供をかばいながらも同時に私という存在をじっと見据えてきたのだ。
  
  その事態の展開に私は狼狽してしまった。 なぜこの女は私を敵視するのだ?
  
  そんなにも私は子供にとって危険な存在なのだろうか?
  
  私は赤ん坊を殺したことは一度もなかったはずだ。 それともいずれ成長してからその子は罪を犯すのだろうか?
  
  そうだとしても母親は子供を守り、かばうものなのだろうか?



               イ       -――-  .    厂!
              / { .  '"´-―- ミ       .  L」
             _ 廴'" -―-      ` ッx     ` |:|
         . '"                  マ:i>、   |:|.
        / /   ′   i             寸心 |:|‘.
       . ' . '     .|    、              マ:i:ハ.|:| ‘.
      ./イ/     .|     |\            W.才|. :!
       .′      |     |   、              V/:l:|ヽ l
       .′     Λ    l __,,≧、'´         Ⅵリ.ハ.l
        i        i   、  '   x抖刄¨㍉      か-'/l.'     _--┐
        | i     | :/、  ', .〃 Wrツ \      V==リ  _-二二二ニ
        | l     .斗'_..ィ云.  ':  、'´ ̄     `ト、    V.ン'-=ニ二二二二:
        | Λ    〃 V::ツト、  '          .| \   W二二二二二二
        |′‘.    l  “´ ノ \. '.         .|   \ l.'二二二-   ̄-
            ‘.   l、    ヽ   \'.         |   |、` |=-::::::::::::::::::::::::/
          ‘.   lハ         _ 、    .|   | マ:::::::___::::::{
           、  l ‘.      r'ニ -‐'     .|   |  ‘二二二二二リ
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              ヽ|  `  .,        '   .|   |   ‘`≦ッ-=ニ
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                    |   |\.イ二二癶  .|: i  l    .l:.:.:.:l
                    |   |   }ニニア:.:.:.〉 .Ⅵ  ;    /:.:.:.:.:,
                    |   |   _. /:.:./}  ∨  . ̄ /:.:.:.:.:.:.:.,
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              .:|  l: | ヽ:.:.:.:.:/     ,,  V  ':.:.:.:.:._:.:.:.-‐:.、i
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115  名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2021/02/26(Fri) 20:21:09 ID:71883176



  女の眼は雄弁だった。 妊娠した女の眼は万の言葉よりも多くを語り、槍で突き刺すように私の肌を傷つけた。
  
  まったく勝負にもならなかった。 私は血だらけになり、根負けした。
  
  私は降参すると席を立ち、その場を立ち去った。
  
  それで妊娠した女性のイメージは脳裏から消え去った。
  
  敗北した私は両手で顔を覆い、その場にうずくまって肺の底から深く息を吐いた。
  
  それでも涙が出てくることはなかった。 神という存在は泣けないようにできているからだ。



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       く.............-‐‐-ミ__/................. /
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        }      \_〉 -‐‐-ミ〈 \                 j/   \
       く         {   __,ハ\__〉             /       }
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        ノイ      | /  ∨|   |  |    |   }  く ̄    |  丿
         |      Vr‐-ミ八   ハ `ト--‐ヘ (__}   |/
.           !   |      ヒ..り  \{ ¬干‐‐-ミ    |     !
.            ‘,    |   / }/Vi         V(....ツ  ノ |       ‘,
           }  /| /}人   ′   /ViVi /  /  ノ      \
            厶イ ∨ }   \   v 、    厶イ  /      〈\ \
                  _} /r┘     ┘ . ィ/.丿イ 〉、  /     } } 丿
              -‐=¬厶イ┘∥  〕ニづ /     .ノ //⌒>    / くく__.ノ
          /       _」  {{__|Vニ..__     //  { `丶. /  `¨´
          }     〔_r-冖-冖-冖-冖‐-ミメ  // r-┘  V

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116  名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2021/02/26(Fri) 20:21:09 ID:71883176



  しかしそうだとすると、あの両腕のない女もやはり私と同様に泣けないのだろうか?
  
  涙。 それは眼がすべてを諦めて、瞼の内におのれの姿を隠した時にだけ出てくる、ひそかな悲しみの形だった。
  
  その時には眼も何かを吸い込むことをやめにして、自分の一部を外へと放出する。
  
  私はあの女にもう一度逢いたいと強く願った。
  
  それは心の底からの望みだった。 こんなにも私が何かを希求することは久しくないことだった。
  
  逢いたい。 女に、逢いたい。






                                                _
           ̄ ̄  `   ==  、                    ,, ==   ´  ̄
                    ` ヽ               /
                   - .、                    __ -‐
                      ヽ                  /
            、                        ´            ォ
            ミ 、       _ ,.ォ              、           ,.ィ゙´
               ≧ュ =≠ ゙´                    ` ミ===≦彡
                      ̄                      とニ つ
                                         l j
                                         i ;
                                            ;



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117  名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2021/02/26(Fri) 20:21:09 ID:71883176



  私は事情を正直にアサクラに説明し、彼女を伴ってあの村へもう一度旅してみた。
  
  私は森の中の道順は正確に覚えていたし、小屋へも迷わずにたどり着けた。
  
  だが女は不在だった。
  
  すでに何か月も前に小屋は見捨てられ、立ち去られた後のようだった。
  
  あの隅っこでとぐろを巻いていた蛇も小屋からは姿を消していた。
  
  きっと女は蛇をも連れて行ったのであろう。 しかし、一体どこへ?




        ,';';''^^乂_ヘ∨ヘ∨{\{┼十}∨ヘ/|:!`=冖ア{\     ト{___j,,,..} }_,,...}、tヘtヘtヘtヘtヘ
        ^''´   ^^'ヽヘ\ }¨¨ ̄l==|丁|:!  ./V,ヘ\{\  }、{-‐‐={ {、-‐}tヘtヘtヘtヘtヘt
              ';==ト{-‐┬{  : |工l:!/V,ヘ∨ヘV,\ Y\} ‐十{ {__,,,..}ヘtヘtヘtヘtヘtヘ
               ;;'{ ト l`{-‐十}   /∨ヘ∨ヘ∨ヘ∨ 「\ }    ハ!  {_,,..、-‐=冖''¨「
        ';  ;'~'; ; ; ; ;,ノ |\ト}┴十} /,∨ヘ∨ヘ∨ヘ∨ヘ∨\/-┴十 {、  }  l丁l:|: l{ー}
 ;'     ;';';^^  ;';厂  {ヽl`{___二{'ヘ∨ヘ∨ヘ∨ヘ∨ヘ∨ヘ/|、{___,,...l、-{ \_}、 |丁l:l  l}ニ{
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;';';/:./_;、_厂;';';';'_;';'<     {\l.}-‐'/∨ヘ∨ヘ∨ヘ∨ヘ/    {`{ ̄'    }  \ヘ,ヘ,   l{'¨}
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~);'{:ノ;';';';';';';'ノ^^^´  ∨ヘ∨ヘ∨ヘ∨ヘ∨ヘ∨ヘ/       { ,}__,,,...、-{ilニl| l{  l` -一l{__}
i:i:i{;';';'_;'_;__ノ   l丁「| ∨ヘ∨ヘ∨ヘ∨ヘ∨ヘ/  ̄\  ilニl| ト{  }   {,||ニ|| l}⌒}  :  l}-{
i:ノノ:i/l丁「|    |丁l |  :∨ヘ∨ヘ∨ヘ∨ヘ/./i:i丁i:ヽ \ ||ニ|| }、}-┬十{'l|ニ|| l{ ̄{__,,..、-L,,j
:{r'i:i:i{ |丁l |   ,r'^^~'ヽ |∨ヘ∨ヘ ,.>'' { /i:i:i:i:i:i:i:i:i:|  l:|lニ|l { ,|  __j    l{-ー}f"
:リi:i:iノ |丁l | _r'_;';'、   '; |: ∨>'f" {-‐} | |i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:|  |   ト,} ̄  } }   l[二{彡
:i:i:i:{ ___rー'i:「:i:i:i:iノ^^';';';'ノ |  !、l :ト、{-‐{ | |S====|  |   {`{__二二{rr   l{  }f
:i:i厂i:i:i:i:i:i_厂乂';';';'_rイ  |  :   ト ,{__,,} | |i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:|  |    ト,}  }  }-‐十lj-‐}r彡
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:i:i:i:八';';';;'_;';';r''´Y          「\{_,,.| | |-=¬ニ二                彡
ヽi:i:i:i:}⌒{:iY{ 从Y从Y从,     \|_,,..!从Y 〔 ̄`Y´ ̄__}                jr'"⌒
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118  名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2021/02/26(Fri) 20:21:09 ID:71883176



  打ち捨てられた小屋の中で、私は途方に暮れていた。
  
  視線はさまよい、眼は切り株や鏡などあちこちのものをすべて吸い取っていったが、目的の女は見つからなかった。
  
  私は眼をつむり、暗黒の内に引きこもった。
  
  長いこと私はその場に立ち尽くしていたが、諦めて眼を開けると、見慣れたアサクラの姿に声をかけ、帰途についた。




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                          {:イ: : |: : |: : /: : : :/:./リ  ` ̄
                      人:.∧:/: :イ: : : :/}:/
                        }' }': : /: : :从/'___
                      r匸|「´从'} イ/  ̄}乂、
             ,...-――--ィ   | 匸!}         ||乂 }
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119  名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2021/02/26(Fri) 20:21:09 ID:71883176
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120  名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2021/02/26(Fri) 20:21:09 ID:71883176


  
  ある朝、一本の指が送られてきた。
  
  差出人不明の小さな木箱が、私宛で直接門番に渡されたのである。
  
  渡してきた男は依頼人のことについては何も言わず、黙って立ち去ってしまった。





                          |                     i
                          ∧               ∧                            I
                           f扞ミ         I        「」                            八
                      」」L」      八      γ^ヽ`ヽ                          匚]
                    γ´/ } `ヽ   「「」 ∧  _f____Y´ |             ∧           /:.:.∧\
                    f竺竺竺竺彡, γ__メ∠\ |.∩ . |∩|            /:.ヘ           | ̄ ̄| ̄|
                      h x=xx=x ∩|_丁x=ミ .| |丁 |_|_| | :|/|─,.ィ^ヽ──ァ─‐/___∧‐。ot───ー‐|  _ | i i|
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   八           |¨¨¨¨。o≦≧s。:_ - 丁 ̄ ゙̄|     | |¨/::ヘ ,口_ |/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄∧:.:.:. :.:_l | | |   _|。o1「i.∩.i i i i| i i|
   口           |TTT| ̄ 「」  ̄|  / ̄ ̄¨| ̄_ ̄|¨z/:::::::∧∧\───‐_‐‐。oiヘ丁 ̄i| | |_, ┴_,丁i i i i i i 「| i i i_ - ¨
 /∧ \    _ ,.||-=≦i:i:\_「」__|/:_:_:_:_,,。o≦i:i:\|//__∧∧∧_>r─_∠,癶二ニム|,.。oi| | |- ¨ | | | i i i i i _ ┴ ¨
 _|TiT| ̄| -=≦i:i:i:八i:i:i:ニ=T==========。o≦「| ̄ ̄ ̄,.。o≦\|TT¨¨T|_|=ニ二j 「」=- '゙i i i i i|_| | |「| | | |_,. - ¨
  |TiT|7三三三三三三三三三三三三三三三三三三三:三:三:i|TT¨¨T| ̄|ニ=-イ i∩ i i i i i i i i| | | |」'┘¨
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   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

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121  名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2021/02/26(Fri) 20:21:09 ID:71883176



  蓋を開けると、中には一本の指が収められていた。
  
  まだ新鮮なそれは形は細く、長い爪をしていて、私には中年の女の指のように見えた。
  
  私は指を手の平の上に乗せて、ためつすがめつしてみた。
  
  その指は私のものより長い。 爪には呪術的な化粧は施されていない。
  
  また、血はほとんど残っていなかった。
  
  切り口を検分してみたが、何か鋭い刃物で素早く根元から断ち切られたのだろうと思われた。




                      ,_,,,,,,_,_,,,,,,_,,,,,__,,,,
                      ヾ          ./
                       ',         ./
                        i         !
                       i         }
                          }       . :}
                           { .、..._...,, .}
                         ',      !
                         ! r ─ 、 !
                        ! !    |./
                            ゝ,,__,,ノ 




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122  名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2021/02/26(Fri) 20:21:09 ID:71883176



  切り口以外に損傷はない。
  
  私は一本の指を両手でそっと包み込むと胸の前まで持っていった。
  
  この指は生きている内に切り落とされたのだろうか、それとも死んでからだろうか。
  
  生きている内であればそこには苦痛が伴われたはずだった。
  
  私は持ち主の苦痛を思ってしばらく眼を閉じた。




                          __
                       /__/´_(`\
                        / / ( \ \
                    / / /\ \ \
                    _/ / ( \ \ \ \
                   // / /\ \ \ \ \
                    / / / /  /\ \ \ \ \
                │ / / / ( \/ \ \ノ   ヽ ',
                │ i´      \ \ \       ∨
               |     ノ    |\ \_ノ   \     ∨
                  |



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123  名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2021/02/26(Fri) 20:21:09 ID:71883176



  いずれにせよ、指という子供はその母体から離されてしまった訳だ。
  
  指にもそれ自身の魂があり、帰る場所に迷うものなのだろうか。
  
  私は指を箱にしまうと、アサクラに渡そうとして部屋を出た。
  
  影の谷へ投棄するよう指示するつもりだった。
  
  私は廊下を歩き、階段を降りた。



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124  名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2021/02/26(Fri) 20:21:09 ID:71883176



  自分の家屋から出たところで私ははたと思いとどまった。
  
  はたして指を葬ることを他人に任せていいものだろうか。
  
  これはあくまでも私という個人に宛てたメッセージではなかったか。
  
  だとすれば送り主は私がじかに手をかけることを望んでいるかもしれない。
  
  迷ったが、私は厩舎まで行くと馬を駆って直接影の谷へと向かうことにした。




          /ハr‐ 、 //}
            |{;,/`ャ=く:.:/ノ
           /:/从ムニ=ミ:く
            |/从/:.:.:r'^ヽ.:乂
         从:{/:.:.:.:.\ 〈:.:.:.:.〉
           |{|片rぅ、:.:.:.:.ヾ、:.:{
         从:.:ト{:.:.:.:.:.:.:.:.:.`、:.:|
          /} }:.刈:.:.:.:.:ヽ.:.:.:.ぃ.:.
.            Ⅵトミ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.}j:.:.:.、
              V込___.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:i
            ∧:.:Y⌒辷={{_::::}〉:.|〉
          八}:.:.ゝ-く:.:入:.:.:.:_从
            / ∧:{ j〉|::::::个ー=く \
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125  名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2021/02/26(Fri) 20:21:09 ID:71883176



  一人なら飛ばせば一日で帰ってこられる。 私は無心で馬を走らせた。
  
  道程の半分まで来たところで、どうしてか無性に両腕のない女のことが脳裏にちらついた。
  
  あの女には腕がなかったから、当然手の指もなかった。
  
  その代わりしなやかに伸びる脚があり、何でもつかめる器用な足の指があった。
  
  彼女は多分、日々の暮らしの中で腕がないからといって困ってはいなかったろう。
  
  でもそれと腕がないことはまた別の問題なのだ。


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                 〈;:;:;:;ヽ! iヽ.ニ .イ l;:;/;:;:;:〉
                   入;:;:;∧  ̄ ̄ i . /;:;:;:人
                   ,...< : : \;∧ {示} i /; ;/: :>.、
             /:.:. :: :: :: :: :: : ̄! 比l i/ ̄: :: :: :: :: : \
             /: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :ヽV /'´.: :: :: :: :: :: :: :: :\
              V: :: :: :: :: :: :: :: :: :: : ,zテミx : : :: :: :: :: :: :: :: :: :/
              V: :: :: :: :: :: :: :: :: : {l{   }l}: :: :: :: :: :: :: :: :: :/
             V.: :: :: :: :: :: :: :: :: :ゞ三ツ: :: :: :: :: : : :: : : /
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          V;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;/:.:: : : : : 弋ツ: : : : : : V :;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;./

126  名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2021/02/26(Fri) 20:21:09 ID:71883176



  あの女の立ち姿は人に大きなショックを与えるものだった。
  
  本来あってしかるべき肩から先の大事な部位が欠けているということ。
  
  そのような直立した姿は、限りなく失われており、損なわれているということの象徴のようなものだった。
  
  それでも彼女は自分の弱点を気にも留めていなかった。
  
  何でもないことのように扉を開け、酒瓶を咥え、脚で酒を注いで盃に口をつけていた。
  
  だから?



                                _
                           /    `ヽ           `ヽ
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                          /         '.            |
                            イ          }     /     |
                        ,' l             |               |
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                       /   .          ト          ヽ  |
                         /     '.         |  \       ' |
                       ;       .        |   ヽ        '|
                       ;′      i       |     :.        }
                       ;        l       |       .     .:.;:〉
                      ;        l       !      i     '´
                      ;′      :.       :      ..; _ . ´
                     ;        :       ,!      /
                       /         ` ー--- '     ::;j
             _   ニ=‐ '               - -‐  ^´
          .  ´    /              イ
         '                      人..   _
       /                         /         ` <
       !/                      /             .`
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      ,′                      /                      i
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         ー


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127  名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2021/02/26(Fri) 20:21:09 ID:71883176



  そして、だから?
  
  私はあの女に腕があったらよかったのにと思っているのだ。
  
  決して憐れんでいる訳ではなく。 決して忌避している訳ではなく。
  
  「だって、この世のすべての人間は、私の子供じゃないの」
  
  だから与えられるものはすべて与えたかった。 不要だと突っぱねられようとも。

  母親が、その乳を赤子に惜しみなく与えるように。
  
  「そうよ。 だからよ。 だからなのよ」



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...:::::://_/   ノ   ,.イi   /  |___|    `ー 、ゝ-     八
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 ..::::::::::/ i/   /イ汐    込夕彡       └マ   _/
.    ..ー=彡      |  ,      ノ         i`ー一′
      ノ/i  /八  _ _ ー=彡    ノ /ヽ   `ヽ_
         /  {  \ `  /  _ 彡/ ノ   斥ー ´
             | |!  ー フ  ̄  /- 、/!/
           ヽj!//ヽー  イ´    ` 、
               / r‐ 、.   |.          ` ┐
                / λ:::ノ  /          |
               ./ /こi二 /  人.        |_\__
              / こ キコ/  /  }    f'´丶 ムY::::::::::::::::|
              .{  ヽコき/    /└──{   /   \::::::::::: |
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                .Y              i}:::::::::::::\    ` 、
                人            |::::::::::::::::::::` 、    |  ̄_ヽ
                  ヽ            人:::::::::::::::::::::::::::::::ー/丶/   ム_
                 }三三三三三三三〉、:::::::::::::::::::::::::::{ L  |  /   \

128  名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2021/02/26(Fri) 20:21:09 ID:71883176



  せめてこの指だけでも私は自分の手で葬ろう。
  
  この世の霊の循環を守るために。 離れた指が、いつか再び腕と出会うために。
  
  「いや、違う」
  
  私はただ単に個人的に、あったであろう苦痛を、起こったであろう損失を、悼みたいのだ。
  
  そしてその行為はなぜか遠い所で、女の失われた両腕を守ることにも繋がっているように思えた。



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_人/ヽ'´ゝ、_,、__ _    _ _ _ __,、,、/`yヽノ\,ヘヘ'ゝ/ゝУヾуヽへ'´Vゝ'^ヽ、,_,、__ _ _
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129  名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2021/02/26(Fri) 20:21:09 ID:71883176




            そうして私は結局、自分で指を谷へと葬った。




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130  名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2021/02/26(Fri) 20:21:09 ID:71883176



  それから後日のことである。
  
  今度は手首が丸々ひとつ送られてきた。
  
  朝になったら門番の目の届くところに一つの木箱が置かれていたというのである。
  
  箱には私宛であることが明記されていたので、中身が検分された上で私のもとへと運ばれてきた。





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_ノ }                    __ -_‐'"
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匚 }           :....   ......∠__
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131  名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2021/02/26(Fri) 20:21:09 ID:71883176



  アサクラは興味を示した私に戸惑った顔を見せた。
  
  「誰かの悪戯でしょう。 私どもが片付けておきますけど」
  
  しかし私は自分で葬ると言い張った。
  
  手はやはり前回同様どうやってか血が抜かれており、爪は長く、体毛は薄かった。
  
  それに指は細い。 今回もおそらく女の手だろう。




 /     /  〃/   イ f``ヾー "´´ | |   l |   │    !
ヽ|   l   |   | !|    :| |        | |   l |   │   ! !
ヽ|   l   |   | !|    :| |        | |   l |   │   ! |
ヽ|   l   |   | !   | |_      、__| |   :j ! |    |   |i| |
!∧  l   l   _jzム≦た!ニf'"    ヾにj≧kムj、|     j   リ| |
li '、  !  ヽ'" | j \  l {        / /  /丁7    /   / | |
|:  ハ ヽ__ト、ィ''チ示アミー       フイ''テ圷、/   :/  ,' / j/
|:  { l`、_,,ム<{イ f::::`イ}         { f:::::`イハ>┬='_/ノ
l   ヽl    ! V^tzc'         V^tzc'  /!¨´  「
| l   l     l  ゝ=='-            ゝ=='´ / i     |
| |   |     |!           !          / !     |
| |   | i   ハ、        '        /  i.    |
| |   | i    !ゝ、       ー ‐       ,. イ  i    |
| |   | l    ',   i> 、       , ィ<1/  /     i|
| |   | ∧.   ∨ i|.  > 、 __,. < l //  /     i|
| |i  ヽ ヽ    Vi|             | {/   /     八


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132  名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2021/02/26(Fri) 20:21:09 ID:71883176



  私はしげしげと手首を見つめ、自分の手と比べてみた。
  
  自分のそれよりも一回り大きく、皴が至る所に刻まれている。
  
  突然手首を失った女は何を思うものなのだろう。
  
  もう一方の手が残っているのならそちらを使うのだろうが、
  
  ふとした拍子に失った方の腕でコップを掴もうとしたり、その度に失望したりするのだろうか。
  
  分からなかった。



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          \ ∨: :{: |: :lィ=ミ、}从 弋ヒソ/}: : : ,'^∨:、: : :{\/ヽ
            }/:/: 从、: ムVj        /: : :/、_ノ:}: :\:∨_>'
               /:イ: /: /}/叭 '  _    ,': : :/|:ー': :|: : :|:ヽ} 、
           {:/: /: /:/:从ム、 ` `  /: : / l| : : / : : |:/ニニ\
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              /:イ       /rミ≧「∧∧:{ //勹ー:/イニ// ∨ニニ\
                 ,.ィ^}_/:/}::::/ヽリ ///_乂⌒}/////マニ二 ム
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                }    | { `\:':::|    |           〉二/
              /_\、  / _ー=\|   /             /二/
              /{イ/\,' <o_,>   〈   、   _/ / ,'ニ/
               / 〈イ_〈 <o_,>    >=介==== < / イ

133  名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2021/02/26(Fri) 20:21:09 ID:71883176



  私は今回も自分自身で手首を運び、影の谷へと葬った。
  
  それからまた後日のことである。
  
  今度は一本の脚と一本の腕が送られてきた。
  
  そこでようやく神官たちは送り元を突き止めようと動き出した。



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134  名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2021/02/26(Fri) 20:21:09 ID:71883176



  一つ目の候補として挙がったのは、過去に反乱を起こした一地方である。
  
  彼らは独自の宗教と僧を抱え、それが地方中に散らばった民族たちを結束させていた。
  
  彼らは最後まで谷を使った葬儀に抵抗していた民族である。
  
  表面上はこちらに従ったふりをしてきちんと税を納めていたが、
  
  結局のところ死体の数というものはなかなか誤魔化せるものではない。



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                                           / ・ ミ ノ /⌒ヽ
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135  名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2021/02/26(Fri) 20:21:09 ID:71883176



  一部はこちらの流儀に従い、一部は従っていなかったことが露見すると、彼らは結束して反旗を翻した。
  
  奇怪な刺青を全身に施した僧たちに率いられ、彼らは戦った。
  
  しかし結局は数と装備の差で彼らは敗北した。
  
  それは先代の神の時に起こった出来事で、アルトリアは彼らが頂点に据えた女王の首をはねたらしい。
  
  それから残った土地には我々王国の民が入植し、彼らの生き残りは奴隷として使われることになった。
  
  そうした土地に、まだ土着の僧たちが生き延びているという噂が立つことがあった。







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136  名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2021/02/26(Fri) 20:21:09 ID:71883176



  彼らが良からぬ呪いをかけようとこちらに身体を送ってきているのではないか。
  
  そうした推測が立てられ調査が行われたが、結局のところ時の経過の中で僧たちは狩られたり、
  
  自然消滅したりしたことが判明しただけだった。 それに奴隷たちは我々の教えに従順であり、反抗の兆しも見られない。
  
  したがってこの仮説は取り下げられた。
  
  アサクラがそのように報告してきた所で、私は口を挟んだ。
  
  「彼らは一体どのようにして遺体を葬っていたのかしら?」




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137  名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2021/02/26(Fri) 20:21:09 ID:71883176


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            ∨: : |ハ: :.|: :|:Lリxfテ示'′   _⌒ヾ: :ハ}: |:l
             {\: !,-L:{_:.|::| `夊:リ     f芯/-:'i: :.l:|リ    「眼をくりぬいていたそうです」
             |: : `i (|:::::::::: |        、ゞ' ':::::::}:./リ
                j: : : :乂l::: : :: |         ′|: :.}'´
             ':|:.i :.|: : :',: : : :l     ー_,-   从::::!
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138  名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2021/02/26(Fri) 20:21:09 ID:71883176


                      _ __ _
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              ∧∨:./:.:.:./:.:.:;':.:.:.:.:∧ヘ/i:.:.i.:.:.:.i:.:.:.ヽ
              ∧:.|!:.:.!:.:.:.:.!:.:.:.!:.:.:.:.:!´`'"´`i:.:.l:.:.:.:l:.:.:.:';'.,
                }:.::.|i:.:.|:.:.:.:.|i≦廴リi:|    |:.:リ:.:.:.|:.:i:.:.!:.i   「はい。 彼らは眼に特別な霊力を認め、死体からそれを
             {:.:.:.:|:|:.:|:.:.:升i:.:.!i:.:.ハj    辻≧:/:./:.:.i:.:!
             lヘ/ヘハ、:|≦斤乍     /廴レリノ//:ハリ   くり抜いて石の箱に封じ、それを墓の下に埋めていたそうです。
             ,'i:.ヘ(|:.:.:.:.:.:| `弋少     升仆ヘ/:/.:ノ
            ,':i:.:.:.:l|:|:.:.:.:.:|         ゞ少 /ソノ      残った遺体は山で鳥葬に付されていたと」
            ,':.:|:.:.:.:l!:l:.:.:.:.:.l     __  ′  /:.l: |
            /:.:.:!:.:.:.:.!:l!:.:.:.:!:!、   ヽ ノ   /:.:.|i.:|
            /:.:./|:.:.:.:.:!:.i!ヘ:.|i| \      <:.:.//:|
            /:.:/:.:|:.:.:.:.:.:.:i:.:.ヘ   ` ー <|:.リ:|:.:.://i:.|
        < ̄`ヾハ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヘ      ト、ヽ∨|:.//:.:!.:|
       /´  ヽ : : ∧:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヾ、_,、-"¨'ーヘ_i:.|/':.:.:.:.':|_
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     イ       ! ',: : :::ヘ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヘ: : : : : : :i:.:.:.:.:.:.:.:.:|: i ヘ
     / i       i ',: : ::::ヘ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヘ: : : : : :|::.:.:.:.:.:.:.:.|:.i ヽ



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   .マ:::マム::::::::::::,{: {: |Ⅳ,ィチ丐ミ∧: :/ィチ丐Y}: ;: }、: :.     ∨\
    . \:マ::::::::::/ 从:{: :ム ヒ:i:リ ` ∨ ヒ:i:リ /:イ:/: :Ⅵ     }// \
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. //// ,、/' マ\_/   乂:,  ,ィ介、 //フ   ://////'  \}    ∨∧
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139  名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2021/02/26(Fri) 20:21:09 ID:71883176



  二つ目の候補は、昔北へと派遣された調査団の遺体だった。
  
  やはり先代の神であるアルトリアが塩の鉱山の夢を見た。
  
  自分が鉱夫となって岩塩を採掘し、背中の鞄に詰める夢である。
  
  彼女は鞄がいっぱいになるまで塩を詰めると、梯子を上って出入口まで戻った。
  
  しかし出入口はいつの間にか塞がれていた。
  
  そこで彼女はあちこちを叩いて外にいる者に知らせようとするのだが、上手くいかない。




                         _  -……‐
                    />''"´           ><二ニ=- 、
                  _仄^ア´                      丶、  ̄\
               ∠〈__/        /           ∨ ⌒\   \
                 / 〈__7     /                          \
              ∧/7    ^ア               !     `
             { 〈 ∨    ⌒7  /       /         |      '
              V∧i   \7  /                  |     |   i
                 〈_ |        ;                |     |   |
                 〈_ i八  │  i         |       /|     |   |
                 〈_'   \|  │     /l   |     |    リ  |
                    〈∧丶\!  厶i   -| /冖¬ト   /ィ¬ト /]/ 八|
                 ^入/こi i   レヘ|斗伃外∨|  /レィ伃ァレ|   /
                    / j{|{^| i     汰 ヒJ゚ソ   |/   ヒソ /i|/|/
                  /   /八 | i     i|´           {  ' i|
              /   // ∧| i     i|            ノ /  i|
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              \_{{__/ /ー| i     i|     ー  ´ イ|    i|
          -‐……<_乂. | i     i[>      イ|  !   | l|
           //     \ \   レi     |ト .,,_/>‐   |  !   | リ
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        ,″       ( 〕   丶 | /V'´ /匸} \,___|/|  ′
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140  名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2021/02/26(Fri) 20:21:09 ID:71883176



  やがて疲労と空腹のために彼女は気を失い、そのまま息絶えた。
  
  自分が死ぬ夢を見たアルトリアはそれを当時の巫女に伝え、夢の意味を占った。
  
  巫女はそれが過去に現実として起こったことだと捉え、王に塩の鉱山の発見調査を依頼したのである。
  
  王はそれを受けて調査団を派遣した。
  
  その一部が北へと向かったが、厳しい極寒の環境のために倒れる者たちも少なくなかった。
  
  そのようにしておそらくは土中、あるいは雪中に凍ったまま埋まっているであろう遺体が、
  
  帰って来たいと訴えているのではないか、というのが一部の神官たちの言うことだった。





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141  名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2021/02/26(Fri) 20:21:09 ID:71883176



  「これは馬鹿げています」
  
  アサクラはあっさりとその説を打ち捨てた。
  
  「死んだ身体が自ら動き出すはずがありません。 まるで子供が幼い頃に親から聞かされる怪奇話のようです。
  
  これは常々注意していることですが、我々の間の一部の者は浮世離れしています。
  
  叱ってやらなければなりません」
  
  私も死体が自ら動き出したという話を本気にはしていなかったが、
  
  そうした噂が立つのには何かしら背景があるのだろうと考えた。



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            ,':.:|:.:.:.:l!:l:.:.:.:.:.l        ′  /:.l::|
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142  名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2021/02/26(Fri) 20:21:09 ID:71883176



  私はアサクラにそう伝え、その説を唱えた神官たちを連れてきてもらい、話をした。
  
  すると判明したのは調査員として派遣され亡くなった者の娘が一人、そこに含まれているという事だった。
  
  私は先代の神が言い出したことであなたの親が亡くなったことは申し訳ないことだと思うと言い、謝った。
  
  また私も含めて我々は不完全であるから、今後も神殿のために協力してほしいとも伝えた。
  
  その若い神官はひたすら恐縮していたが、そのように伝えた上で、死体が自ら動くことは決してないと私は明言した。



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143  名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2021/02/26(Fri) 20:21:09 ID:71883176



        ./    /  /  /,:'         ,∧::::::::':,    ヽ
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     乂 ':, ゙{    , ,{/ 斗== /=====ゞ     r=--};;;;,. ':,    i
      从 l: ':,.  ;:::│  / ,:''/;:.....       ,′   |;;;;;;,. }:.. ':,从
.      乂 :l: ∧;;::|: ┤ 〆-====ゞ       γ===ゝ,;;;,' /::::::∧}
.        │: ':::l │| 从`弋;;,ヾツ        ,{心_ノ./;;,'/::::::::/乂    「そうなんですか?」
.         ':, ':,乂│l  ':,:, ´¨ ̄ ´.       ', `¨` ,';;;/:::::/   )
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    r─'´ ∨////////∧.  ∨::::     ̄ ミ、//∧  ’ー─ヾ




                  _,.     ̄ ̄`  、
   ../, ̄:\ ,  ´ ̄ ̄´            `
   ./:://:::::::::::\                    \
   .|:::| |::::::::::::::::::\_ _,.. -――::___ ̄≧、___    :.
   .|:::| |:::::::::::::r-- 、`ヽ--/ イ ̄{/∧/  /∧⌒\  }      「そうです。 いかなる呪いにもそのような機能はありません。
   .{:::{ {:::::::::::::}  /∨_{//__}: : :\__ノ: : |_,/⌒ヽ/
.    \:::、::::: 〈 /: : //: : ': : ': :/: : : : : : 、: :|:|: : :∨⌒ 、     私といえど死体をそのまま復活させることは叶いません」
  ..r::::r\/:::∨:': :': |: :_|:_:_|: :{: : : : :|:_:!」:_: |:|: |: : :. _ノ
  ..{::::{ {:::::::::::: {/|: |: :{: /{Ⅳ{:从: : : : }从}/从|: |: : :∨   \ 、
   .マ:::マム::::::::::::,{: {: |Ⅳ,ィチ丐ミ∧: :/ィチ丐Y}: ;: }、: :.     ∨\
    . \:マ::::::::::/ 从:{: :ム ヒ:i:リ ` ∨ ヒ:i:リ /:イ:/: :Ⅵ     }// \
    .//\-=:/  /:\:} 人    '    ムイ: : : : }      /////∧
.   ,'//∧ ̄  ,: :{: {: {: : :>  ` ´  イ: : /: : : : /    ///`ヽ/∧
   .//// マム  从 八: ヽ:}: :,.ィ} `¨´ ,ト、: {:イ: : :{: /     //イ   マ/ム
.   ////  /ム    /⌒乂{  \ / }l}フ⌒ヽリ___////∧   ∨∧
. //// ,、/' マ\_/   乂:,  ,ィ介、 //フ   ://////'  \}    ∨∧
. ////イ  l/、\_/   / 、∨乂__ノ∨イノ    \¨¨´ ̄`ヽ´ `ヽ  ∨∧
.,'///      /    ,:  /:::::::::\/  :.      :.         \ },//〉
.{//{        {     {  /::::::/::{::::::::::>  }     }          /イ//
.∨イ       \     :. \:〈:::::|::::イ   ,     イ}           ///
 ∨         〈乂>r- }   `ヒ|ll|フ     /、-rイノ'           //イ
.           /   / ,ィ、    ヒ|ll|フ     {|   |          /´

144  名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2021/02/26(Fri) 20:21:09 ID:71883176


                 __
            _.、-' ,.- 、._     ‐ 、
         ,:ー 、'´  /    `ヽ、.._   ヽ_
          /   `ヽ、/    ヽ     ̄`ヽ 〉ヽ
      /       | 〉    '.   i     Y  |
     /       .ト ハ     l   |   l. ', ト.
.     / i       | lニ'^´ヽ |  ト.  1   .|  |   〉       「大きな谷は母なる者への子宮に繋がる入口であり、
    | |  | | | l     | |l.  |」.斗|ー | ! / 〉
    | |  | | | |   」斗ヒ] ヒ_ jハ.  ! リ、 ,ハ      そこで子供たちである死者は孕まれ、産まれ直される。
       |  、´l ̄j.ニト    ´ ヘ´r‐、 iンL.ル | Y | ',
      ヽ!、  |ヽゝfVrt.',      うッソ|.     レ  | ',     このようにして霊は正しく循環し、ことわりは保たれる」
       ー\|ヽ. 込}         ̄ | l    l   ト. ',
         |  ',   '        | |  | l   | ヽ ',
         |   ヽ    -    ,. |,'!  ,′′  !  ヽ
         ||   `ト,、._   /   | ./ ,′   |\
            、ト.  ハ.| l/ ヽ ´   .ノイ |/    .|ァー-
            ハ   | ∨ //    , イノ       /|   . -
        rイ/  ヽ| / /'二.ー .._/,/     .// /
.        / | }′   .l,/´_ `ァ' /      //,.'
    ,r ´  | |    ,′   `ン/      ///




        厂 ̄`丶
          /..//............\     -‐‐‐‐‐‐‐- -‐‐-ミ
.         /..//................... \                 `丶
        /..//..............................                `、
.       /..//.................................|       -‐ァ'^⌒ヽ     j
    _」..//.........................r‐‐-ミ_r--┐   {‐-ミ   }_ /     「例えば今我々に体の部位を送ってきてる何者かが、
   /....//..........................人 /   {__/   `V   `丶
.  └-----------‐   )′  /   |   | └--‐ '⌒ヽ   今度は眼を送ってきたとしましょう。
    {   r‐---‐ァ'⌒′  { /  |     |     V   丿
.     \  \  /    {  {∨‐‐- ∨  厶 - }  | ‐く     そうしたらあなたは私に何を期待するかしら?」
        \_丿/      {   { rテ芋ミ }/rテぅx}  j__)
        (__//      {   { V.り     vり /  〈
         /   |   {   \       ' 厶イ|.
         .′  ∧  {    }  ‐-    八 | }
        ノイ  { ゚。  V   /       /、   | 丿
         人 {  } 丿 )'′ _,〕ニ爪 V )ヘ.丿
              \〉 厶イくr'⌒V´     _」_ノ ̄`丶
                   _」r┘  l{     く_/     |
              / └┐__人   r┘/     |
               |    く_r (0)ヘ._」/      〈

145  名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2021/02/26(Fri) 20:21:09 ID:71883176



       _,. -―===―- 、_      \ \
      /  /  , /   `ヽ,      \ \
     /   /  .:://    _〉、_\      |  r’
   /_ _-_‐/_‐_‐:y'´-_-/‐/   \__ハ     |⌒|
   Y  /:::l   / ̄.:/l≠‐-、    ヽ ヽ    |  |
   ノ ,ノ _:l  i  _;ッrr=tぅ、   ,.-、| 、|    |⌒|      「眼に映っていたものを読み取ってほしいと願います。
  / ,イ::::/r'|   〈 ヽ!.ゞ゚ノ`  ,/=v'´ .,ハ   |  |
  ! l |::〈 く(: : ,  l   ̄    (゚ソy` ( ,ノ   |⌒|      そうすれば体の身元も判明するでしょう」
  | | l:::::\_|: : | .:ゝ      冫|、、} )    |  |
  ヾ \_:::ノ人l .:、)   ー_-  ノ )ノ'     |⌒|
      〉く:ノ::ト、.:{      .イ | '´   r‐y'⌒ヽ
  v'(____,ノ\):/ ヾゝ ,ゝ、_/ ヽ!(    人_j/⌒'、)
 , '´: :/: : ノノ.    / 、    `ヽ   l ,そ⌒ヽ.)
( _,. -‐'´ ̄ ̄`ー-、(_  \        {  ノ⌒ヽノ
厂  ...::::::::::::::.....  \)ヽ \      〉 `l⌒lノ
 -‐=ニニ二ニニ=‐-、 \_) /へ    /   ,|⌒|
              ((_)



                     ____
                            `丶
           /く\              \
      厂 ̄`丶   \〉             ハ
     .|....{.............\  く\   -‐━‐-ミ  くノ |
      \_〉-‐‐-ミ...\  >'^........ -‐━‐-ミメ、 |         「確かにそうできれば話は早いでしょう。
    / ̄`⌒>............`丶〉⌒し'⌒ヽ__ノ⌒丶   \‐‐-ミ
  く................{............ _/ r‐-ミ___厂   |\__\_r-ヘ、____〉     しかしそれは不可能です。
     ̄\......〉、___/ r-┘| /八   |´ ∨  {   丿
    .../ ̄し-ヘ.__丿   rテ芋ミ\   xテ广}  {__厂        そういう能力は私にはありません」
     く__/ }      V.り     V {.ン んヘ. {
.        └-}   } |   { "      " 人  ∨
          .厶ヘ  } |  {ト     c     l  j乂__
          ∨V \ {‐-ミ>‐< }丿 /
            丿r-‐' \〉   \ノ┐〕iト .∨
             .丿-ミ `く     /(0)∨_〕
          .′  し┐`く_/ }.......〉 _〕 {
           {       し┐  }....{ V   \
        . / ̄〉\        \ノ.........\゚。    }
      /----し'^ }        }................〉ト、___丿
.   /-------/ く__rく三アく_ノ⌒¨´/__r-┘、
  ./-----/V-/  厂し-ヘ.__ノ〈 /   {  |\--\
/-----/  V    }..._j∧   ∨    {    \--\

146  名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2021/02/26(Fri) 20:21:09 ID:71883176


              j/   //   /             \ \
             /,  j/   /      丿  \ ヽ  ヽ
         //  ″ /       / \         ,   ヘ
           /   〃 //   //     \    ヘ ',    〉
        ∧ 〃   '   /         ヽ    j∧', ハ
         | {{   {  /(             __」 ト、    }} }
        八,ハ   V/「¨''_ー- 、     '´__ jノ__Vリ 〃j/
          ヽi\ハrく(.「{て孔`     圷アリ )> jノ |        「は、はぁ……」
            j  )ヘ  弋_,, り      ゞ _,ノ  /   |
           i    '           {       ′  |
          八{   ヘ          ′    / ,  リ
            从   } \       -‐-    イ / ∧
             '. j ,r个 、      , ィ  レ'い/
               ∨ 《 丿 } `  ._,. ' | }〉   jノ
              ,. :‐'´丿       ト、`丶、
            . イ::.::.::.::.'.          /.::.::.::.:`:...、
        ,.  '′ |::.::.::.::.::.:、__    __/.::.::.::.::.::.::.:.「`  、
       /       |::.::.::.::.::.:..\ `   /.::.::.::.::.::.::.:.: |   \




                  _,.     ̄ ̄`  、
   ../, ̄:\ ,  ´ ̄ ̄´            `
   ./:://:::::::::::\                    \
   .|:::| |::::::::::::::::::\_ _,.. -――::___ ̄≧、___    :.       「後はアサクラが教えてくれるでしょう。
   .|:::| |:::::::::::::r-- 、`ヽ--/ イ ̄{/∧/  /∧⌒\  }
   .{:::{ {:::::::::::::}  /∨_{//__}: : :\__ノ: : |_,/⌒ヽ/       下がりなさい。
.    \:::、::::: 〈 /: : //: : ': : ': :/: : : : : : 、: :|:|: : :∨⌒ 、
  ..r::::r\/:::∨:': :': |: :_|:_:_|: :{: : : : :|:_:!」:_: |:|: |: : :. _ノ      あなたとお話しできて、私はとても嬉しかったですよ」
  ..{::::{ {:::::::::::: {/|: |: :{: /{Ⅳ{:从: : : : }从}/从|: |: : :∨   \ 、
   .マ:::マム::::::::::::,{: {: |Ⅳ,ィチ丐ミ∧: :/ィチ丐Y}: ;: }、: :.     ∨\
    . \:マ::::::::::/ 从:{: :ム ヒ:i:リ ` ∨ ヒ:i:リ /:イ:/: :Ⅵ     }// \
    .//\-=:/  /:\:} 人    '    ムイ: : : : }      /////∧
.   ,'//∧ ̄  ,: :{: {: {: : :>  ` ´  イ: : /: : : : /    ///`ヽ/∧
   .//// マム  从 八: ヽ:}: :,.ィ} `¨´ ,ト、: {:イ: : :{: /     //イ   マ/ム
.   ////  /ム    /⌒乂{  \ / }l}フ⌒ヽリ___////∧   ∨∧
. //// ,、/' マ\_/   乂:,  ,ィ介、 //フ   ://////'  \}    ∨∧
. ////イ  l/、\_/   / 、∨乂__ノ∨イノ    \¨¨´ ̄`ヽ´ `ヽ  ∨∧
.,'///      /    ,:  /:::::::::\/  :.      :.         \ },//〉
.{//{        {     {  /::::::/::{::::::::::>  }     }          /イ//
.∨イ       \     :. \:〈:::::|::::イ   ,     イ}           ///
 ∨         〈乂>r- }   `ヒ|ll|フ     /、-rイノ'           //イ
.           /   / ,ィ、    ヒ|ll|フ     {|   |          /´

147  名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2021/02/26(Fri) 20:21:09 ID:71883176



  若い神官はアサクラと共に退室した。
  
  ああした純粋な者が、一定数神殿には必要である。
  
  しかしできることとできないことの区別はつけてもらわなければ困る。
    
  その日私は敷地内を散歩した後、食事をして眠りについた。




二]ーr-= ._    ̄  ―- ._   }| |! |¨._ ‐-  ._
二]三}ー- .二 ―-  ._    >'| |! |   ̄ ‐- 二 - ._
二]三ヨ¨ ―- 二 ―- 二:].  | |! |二 ‐- ._  ¨ ‐ 二 ‐
二]三}二   ―- .二  ‐- ┼‐┬─┐―- 二 -、¨ ‐- ._   ¨
゚ T T ┬r z .―― --- _}. | :::: |二  ‐- 二]三[ニ - 二
 | |. ! | | 厂「T T ┬rz __]   |::  ::|‐- 二 ‐--!三}- 二_
 | |. ! | | | .| | !::::| | | :| |   |::  ::|┬r: .._二二}三i三三 =
 | |. ! | | | .| | !::::| | | :| |   |::  ::||| | | | i:TT::┬n ._― =
 | |. ! | | | .| | !::::| | | :| |   | :::::: ||| | | | | | | | | | | | i:TTT
 | |. ! | | | .| | !::::| | | :| |   | :::::: |│| | | | | | | | | | | | | | | |
 | |. ! | | | .|_| !::::| |_| :| |   | :::::: |│| | | | | | | | | | | | | | | |
¨:|゚゚:|'¨'! |'¨|'゚゚| .| |'゚゙!::::| | | :| |   | :::::: |┥| |_| | | | | | | | | | | | | |
 | |. ! | | | .| | !::::| | | :| |   | :::::: |│| | | | | | | | | | | | | | | |
 | |. ! | | | .| | !::::| | | :| |   | :::::: |│| | | | | | | | | | | | | | | |
 ̄ ̄ ¨¨¨゚ ==.  ー┴┴┴≧f┬┬i──────────
┬────────‐┬─ー┘|::::|├───‐┬─────
十―――――――――!     .|::::|├────!─────
互]二二二i二二二二二二]     |::::||二二二二!二二二二二
三三}二二二二二二二二]    .|::::|├────|───┤TT
┬┬┬┬┬ TT ΤΤΤΤ!  |::||―・ ―‥:| ― ―|:| |
||||| :| | :! |::::|::::||  |::|│        |      |:::| |
||||| :| | :! |::::|::::||  |::|│        |  ,、  |:::| |
||||| :| | :! |::::|::::||  |::|│   ̄`ヽ..| ャ′':ァ |:::| |
||||| :| | :! |::::|::::||  |::|│ l:   :l .|  〉,、〈:.|:| |
||||| :| | :! |::::|::::||  |::|│ ゝ.._ノ .|  ´ ` |_二
||||| :| | :! |::::|::::||  |::|│        |. -‐ 二 -‐
||||| :| | :! |::::|::::||  |::|├――= 二 -= 二二二]
||||| :| | ..」 ┴_'¨´¨>、 .|::::|├ 二二 工二 -‐=二h‐
|||.」 ┴__¨´-‐ ¨ _  -‐ ´ .|::::|├= 二二 ==- ¨| | | :!
¨¨_¨¨´-‐   _..  -‐ f¨]==zzォ  |::::|├―   T _ - ‐ ‐|! !::|

148  名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2021/02/26(Fri) 20:21:09 ID:71883176



         それから半年の間、体のメッセージは途絶えた。







                          |                     i
                          ∧               ∧                            I
                           f扞ミ         I        「」                            八
                      」」L」      八      γ^ヽ`ヽ                          匚]
                    γ´/ } `ヽ   「「」 ∧  _f____Y´ |             ∧           /:.:.∧\
                    f竺竺竺竺彡, γ__メ∠\ |.∩ . |∩|            /:.ヘ           | ̄ ̄| ̄|
                      h x=xx=x ∩|_丁x=ミ .| |丁 |_|_| | :|/|─,.ィ^ヽ──ァ─‐/___∧‐。ot───ー‐|  _ | i i|
              ___∧|_|_|__|_|_」L⊥┴i|│ │| |┴ァヘ ̄^|  |/:_|\_,.>'":_:_:_/ー‐'ィ^ト、:.:.:.\:_:_:_:_,癶=ニ二i|_i_i|
   |          /:.:.:.:.:.:.:.:.| _,.。oi()io。.,| / ̄ |┴_┴|'"|:.:.∧ ∧_,,|。o1^\| | |/ ̄ ̄,.。o≦Ⅵ.| | |_,. -' |ニニリ _ -'' ¨ i i| i i|
   八           |¨¨¨¨。o≦≧s。:_ - 丁 ̄ ゙̄|     | |¨/::ヘ ,口_ |/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄∧:.:.:. :.:_l | | |   _|。o1「i.∩.i i i i| i i|
   口           |TTT| ̄ 「」  ̄|  / ̄ ̄¨| ̄_ ̄|¨z/:::::::∧∧\───‐_‐‐。oiヘ丁 ̄i| | |_, ┴_,丁i i i i i i 「| i i i_ - ¨
 /∧ \    _ ,.||-=≦i:i:\_「」__|/:_:_:_:_,,。o≦i:i:\|//__∧∧∧_>r─_∠,癶二ニム|,.。oi| | |- ¨ | | | i i i i i _ ┴ ¨
 _|TiT| ̄| -=≦i:i:i:八i:i:i:ニ=T==========。o≦「| ̄ ̄ ̄,.。o≦\|TT¨¨T|_|=ニ二j 「」=- '゙i i i i i|_| | |「| | | |_,. - ¨
  |TiT|7三三三三三三三三三三三三三三三三三三三:三:三:i|TT¨¨T| ̄|ニ=-イ i∩ i i i i i i i i| | | |」'┘¨
 _|_'_'_|/三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三|_'_'_'_'|。o1 i i i i i i i i i i i i i_ ┴ ¨
  |_i_i_i_i_i_i_i_i_i_i_i_i_i_i_i_i_i_i_i_i_i_i_i_i_i_i_i_i_i_i_i_i_i_i_i_i_i_i_i_i_i_i_i_i_i_i_i_i_i_i_i_i_i_i| i i i i i i i i 「|_ ' - ¨
  | i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i| i i i ' _ - ¨
  | i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i|_i 」 - ¨
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149  名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2021/02/26(Fri) 20:21:09 ID:71883176



  仕事のない退屈な時期が続いた。
  
  起きて運動し、本を読み、食事をして眠るだけの平凡な日々を私は送った。






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150  名前:◆NBJATnhEhM[] 投稿日:2021/02/26(Fri) 20:21:09 ID:71883176



  半年後のある日、また私宛の木箱が届けられた。
  
  中身は一つの完全な壺と、割れた陶器の破片だった。
  
  それで私はこのメッセージの送り主があの両腕のない女であることを確信した。
  
  おそらくこれは一連の体の部位の続きなのであろう。
  
  あの時、陶器は村人たちの身体を表していた。
  
  そして今目の前にあるのは、一つの完全な 「体」 と一つのバラバラにされた 「体」 だった。



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                         .ィヘヘ仁三三ソミヘ二三二ュ,
                       .ィヘ三二ニ=r f三>'"¨}三三三}
                    _,.ィヘ三「 r ヾ丶ヾ i二i ヘ三三三{ー`ヽ,
                _,.ィ二三三ir゙" ソ ア´ ̄ ̄`'丶、 ∨'´ ヽ,三三ハ
               l仁iノ二二三l .ィ´ iソ`ヽ>=一<`ヽ、 iヘィ仁二三三℡ュ,
               }三三二三三ヘ / / l/i /∀ゞ、 ヘi三≦三三二二℡ュ,_
               Ⅷ斤廿三三}≧ュ仁i l } { ソミ彡、ソソ二二三三二二二℡ュ, . . .:. :.: .: .: .:.: .: ..:
二二,,_,.、..: .:.. ;.;.:.: ; :.. ;.;. :.: Ⅵハ三/ ̄`ヽ,ヘヘi .l`ヾ、r=≦三二 iソソ三三三ソニ二二二℡ュ, . . .:. :.: .: .: .:.: .: ..: ―,.、__
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      ̄ == 三三rへ   """" rァ ⌒  ̄ ̄         …       :.:.    |ト    V   """    _ ∠Ζ//,L
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